「敷島(しきしま)」とは、日本のことを指します。日本にはたくさんの美称・異称があるのですが、その一つが「敷島」です。「敷島の道」とは、つまり「日本の道」「日本の歩むべき道」という意味になりますが、通常は「敷島の道」=「和歌」のことをいいます。つまり、和歌とは「日本の道」「日本の歩むべき道」ということです。

 

先日、いつも行く本屋で定期的にみている和歌コーナーに『歴代天皇の御製集』(致知出版)を見つけ即購入しました。9月25日の新刊でしたが、今まで新刊コーナーには置かれてなかったので見逃していました。こんな素晴らしい本が新刊コーナーに置かれないのはもったいないことだと思います。また私はよく行く大型店舗の天皇に関する書物コーナーは必ず確認しているのですが、二つの大型店舗でここ最近も何度か見ていますが置かれていませんでしたし、片方の店舗は和歌コーナーも確認しているのですが、本書はありませんでした。

 

もしかしたら致知出版の本は書店によっては取り扱ってないとも聞いたことがあるので、だから置かれていなかったのかな、とも思うのですが大型書店だからそれはないだろうとも思うので残念です。

 

こうした素晴らしい本が出版されても、書店での扱いがこうなのですから、しかしこれが日本の現実です。

 

本書の帯書きにもある通り「皇室と日本を知るための必読書」といえるのは、これが御製集だからです。御製とは天皇が詠まれた歌のことをいいます。天皇はその言葉の重みから、基本その思し召しを公にされることはほとんどありません。その天皇が公にその想いを発する唯一の機会が御製です。そして和歌とは古来から霊力があるとされてきた言霊の国の我が国では、和歌の言葉には神に懸けての責任を持ってきました。そうした意味での、言葉の重み神聖さもあるのが御製だといえます。そうした御製集ができたということは、ただそれだけでも我が国の通史集ともいえるものではないでしょうか。

 

本書は国民文化研究会による編著となっており、もし2冊以上まとめて購入する場合はこちらから購入すると割引価格で購入できます↓(送料別)

 

致知出版の頁には紹介文も書かれています

歴代の天皇は何を思われ、何を祈られてきたのか ――。皇室と日本を知るための必読書

内容紹介

むらぎもの心のうちに思うこと
いひおほせたる時ぞうれしき
(心の内に思うことを一首の歌に正しく表現できた時の何とうれしいことか)

明治天皇

古来、人々は和歌を通して心を通わせてきました。

和歌にはその人の一瞬一瞬の心の機微が収められており、何千年、何百年前に読まれた御製を通して、天皇の大御心にも触れることができます。
 
本書では、神武天皇から上皇陛下まで九十五方・約二七〇首を、御事績や詠まれた情景なども含めた解説とともに紹介。

国民文化研究会の総力を結集し、六年半もの歳月をかけ推敲されただけあって、その内容は実に味わい深く、趣があります。

歴代天皇の詠まれた御製を年代順に辿ることで、二千六百年余の歴史を貫く日本の息吹を自然と体感できることでしょう。

折々の御製に込められたその祈りは、日本の躍進、先の戦争、大災害など、我が国が歩んできた道をまざまざと映し出します。
 
日本とはどんな国なのか、何が日本を日本たらしめているのか――。

日本と皇室を知るための必読書として、綿々と紡がれてきた日本の心を、本書から一人でも多くの方に感じていただければと願います。

全三百頁に及ぶ歴史的著作です。

東京大学名誉教授・小堀桂一郎氏ご推薦

「國史の要諦を略述した立派な通史の一例となつてゐると筆者は評価するものであります」


 

本書には、御製集の紹介の前に、「薦める詞」「はじめに」「刊行にあたって」と3つの前書きがあり、そこで我が国と天皇そして和歌の歴史についての解説がされています。それを読めばいかに和歌が重要なものであるか、大切なものであるかが誰でも理解できるでしょう。そこにあるのは、天皇だけのことではなく、天皇と国民の紐帯という意味での重要さを知ることができるのです。こうしたことは、戦前までの教育では多くの人が知っている事でした。だからこそ、戦時中兵隊として最小の荷物で赴任した若い兵士たちはその携帯品の中に万葉集を持っていった人が何人もいたのでしょう。また、辞世の句を残された方々もいました。私は、そうした和歌を詠まれた方がたくさんいたことに驚かされたものでしたが、日本を知ればそれが当たり前のことだったのだとわかるのです。

 

むしろ、和歌を詠む人が少ない現代、戦後こそ異常なのかもしれないとも今では考えるようになっています。

 

この間の満月の晩、月を観ながら近所を歩いていたら、歌が無性に詠みたくなって一首できました。古来から人々は美しいものを観たりなんだりしたとき、こんな感じで歌を詠んでいたのかもしれないなあ~なんてふと思ったものです。そこには嘘偽りのない素直な想いがありました。

 

本書の270首の御製の中には、月を詠うものもありますが、民を想う歌も多くあります。また、予祝として祈りの歌も多くあり、御歴代の天皇の想い、思し召しを知ることができます。

 

御製について書かれた本はたくさんありますが、御歴代の天皇についてまんべんなくの御製集というのは今までありそうでなかったかと思います。神武天皇に始まり上皇陛下までがまとめられており、今上陛下の物はないのかと思いきや、前書きに一首載せられてあります。

 

ご歴代の天皇の中には、たくさんの歌を遺された天皇がたくさんいらっしゃいますが、この御製集では基本1首か2首を取り上げています。そうした中たくさんの御製が取り上げられているのは、やはり歴史が大きく動いたときの天皇、あるいは苦難にあった天皇です。こうした歌集だけでも国史の流れが見えるのは我が国ならではといえるのではないでしょうか。

 

天皇の系図と天皇に関する専門用語や和歌についての解説が巻末にありますので、そうした知識がない方でもこの一冊でそうした知識を得ることができます。

 

日本を知るため、知らすための一冊です。

 

最後に敷島の道を歌っている御製をいくつか

 

白雲のよそに求むな世の人の

まことの道ぞしきしまの道

明治天皇

 

敷島のこの道のみやいにしへに

かへるしるべもなほ残すらむ

霊元天皇

 

たまほこの道のひかりを敷島の

大和ことばにあふぐよろづ代

後桜町天皇

 

御製についての本はこちらでも2冊紹介していてこちらもお薦めです↓

 

 

 

 

 

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