昨夜熱田神宮で行われた、およそ1300年前から続く「オホホ祭り」↓

 

本日は端午の節句、子供の日です。

 

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが、私は子供の日前後が一番の目安だと考えています。お彼岸を目安にすると、暑い日があっても寒い日が戻ってきてしまうからです。事実、明日は立夏です。例年、5月5日前後が立夏となっています。二十四節季は自然歴ともいわれ、太陽や月の運行に即して農業の目安にもなる、体感と季節感が一番近い暦です。


さて、子供の日といえば鯉のぼりですが、これは鯉が竜門を昇り龍となる中国の故事から、出世や栄光の糸口となる関門を「登竜門」と呼び、子供が立身出世するよう願いが込められ鯉のぼりが掲げられました。


江戸時代には、男子誕生の喜びを広く世間に知らせるため、戸外に幟として立てられるようになりました。五色の吹き流しは滝や雲になぞらえ、その色は陰陽五行の木・火・土・金・水を表し、邪を祓うものです。しかしそもそもの始めは武家が家紋や武者絵を描いた幟を立てていたのを庶民が真似したんだそうです。ただし、武家の風習をそのまま真似することがはばかられたので考えられたのが立身出世の鯉の幟だそうです。最初は小さかったものがどんどん大きくなっていったというのは、いかにも庶民文化が華やかだった江戸時代らしいですし、それをまた武家も真似していったというのですから面白いです。


ということで歌川広重の浮世絵にも、大胆な図柄の鯉のぼりが描かれているものがあります。当時の鯉のぼりは黒一色だったそうで、確かに色鮮やかな浮世絵の中のいくつもの鯉のぼりは皆黒い鯉です。

 


ところで子供の日とはいいますが、3月3日がお雛様で女の子の日、5月5日は男の子の日のような扱いになっています。しかし、実は、お雛様がお祓いの日であったように、端午の節句も元々はお祓いの日であって、男女の区別はありません。

 

 

旧暦の五月は梅雨の時期です。この月を「早苗月」と呼ぶように、稲の若苗を田に植える大切な農事が行われる時です。今年の旧暦5月5日は6月22日、本来の端午の節句の時期は1ヶ月i以上先となります。


端午の節句は田植えに先立ち、田の神に豊穣を祈る行事として行われていました。田植えに来臨する神を迎えるため早乙女は巫女となり、 菖蒲や蓬で葺いた屋根の下、敷き詰めた香り高い草の上で一晩を過ごし、翌日の田植えに備えて身を清めたのです。


それが鎌倉時代に、菖蒲が尚武に通じるという縁起から、武士が端午の節句に流鏑馬などの行事を行うようになりました。鹿島神宮では五月一日が御田植祭と流鏑馬の日ですが、ここからきています。他にもそういう神社があるでしょう。

 

勇壮流鏑馬 人馬一体 鹿島神宮

 

その後、室町時代には兜人形も作られ、端午の節句が男子を中心とする祝いの日へ変わっていったのです。


ということで、元々は田植えの行事で、早乙女つまり若い女の子が身を清め祓う行事だったのです。早乙女は10代前半から半ばぐらいでしょうか。


とはいっても日本人にとってとても大切なお米、稲を作るための行事だったのですから、男女関係ないわけです。


今年も豊作で、子供達がすくすく育ちますようにと願うのは古来から変わらない願いです。

 

子どもの日には、武者人形を飾る家も多いかと思いますが、この武者人形はある意味伝統技術の継承にもなっていると感心したことがあります。そしてお雛様の人形もそうですが、こうしたものを飾ることで本物を見る目を養うこともできるのだとも思います。こうした習慣がある我が国は、皇室を頂点として伝統とともに生きる国であるということを、こうしたものを見る度に再認識いたします。とはいえ、立派なものは大変お金がかかっていますし、お手入れも大変です。しかし、現在は美術館等で季節展示も毎年行われています。

 

なお、本日各地の神社で、端午の節句、菖蒲祭の行事が行われているのを楽しむことができるでしょう。この時期はお祭りの時期でもあります。

 

元々が禊祓いの日であり、子供の健やかな成長を願う予祝の日でもありますから、本日は、穢れを祓う意味でも、また健やかなる成長を願う意味でもお近くの神社などにお参りしたり、遥拝をするのがいいのではないかと思います。

 

さて子供の日のおやつといえば、「せいくらべ」の歌にもあるようにちまきもありますし、菖蒲餅もあります。

 

しかしなんといっても柏餅が全国的です。その柏餅の柏の葉といえば、宮中祭祀の新嘗祭で天皇陛下が使用される器が柏の葉で作られています。この柏の葉を、採りに行かれたお妃さまを怒られせてしまった「民のかまど」で有名な仁徳天皇のお話が古事記にはあります。つまり、物凄い大昔から行われているお祭りを天皇陛下はされているわけです。

 

「カシワ」の語源は、炊事に使う葉という意味だそうで、食べ物を盛り付けたり蒸したりする時に使う葉を炊葉(かしきは)と呼んだことからきているそうです。

 

昨年、期間限定の柏寿司をみつけて食べてみました。こういうことなんだなあ、と思います。美味しかったです。

 

右上にあるのが柏に包まれたお寿司で、中身は海苔巻きと薄焼き卵が巻かれたお寿司でした。お寿司はかすかに柏の香りがしました。左下がミニ柏餅です。

 

大昔の人もこの香りをかぎ、お祭りをされたんだなあ、と思いながら柏を味わうせっかくの機会が、この端午の節句の時期です。この時期、柏餅を味あわないのはもったいないです\(^o^)/

 

昨年気に入ってしまった銀座あけぼののチラシコピー↓

 

 

本日のような日は、暦や伝統を見直してみるいいきっかけになります。

 

 

 

子どもたちの1年を追う映画「森の学校」では子供の日におばあちゃんが菖蒲を持ってきます。昭和初期の子供たちの姿は、老若男女問わず家族で楽しめる映画です。おじいちゃん、おばあちゃんには懐かしい風景かもしれません。

 

 

茨城県土浦市の土浦セントラルシネマズでは、年中無休で「森の学校」を毎日上映しています。

 

原作は、京都大学の名誉教授河合雅雄さんの著書『少年動物誌』。雅雄さん=マト役を三浦春馬さんが演じ、これが初めての主演作となっています。DVD化はされていませんので、お近くの映画館で上映されたら是非ご覧いただくことをお勧めします。

 

 

 

 

 

 

 

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