そんなわけで、ずるいわたしがおわんに逃げ、そこにしゃがみこむと
「タイム」
になります。
おわんの中ですっかり安心し
「へへ・・」
とにやけているわたしのそばで、ピピはおわんの縁(ふち)にそって少し回り、それから縁の外に生えている短い草を
「むしゃ!」
というかんじでひきちぎります。
そして
「くしゃ!!」「くしゃ!!」「くしゃ!!」
やけくそぎみに、頭を振って食べるのです。
この草は、まだ細く、やわらかく、かみそりのように薄い、若い、緑の草です。
おわんの下の地面にも、同じ種類の草がおいしそうに生えています。
わたしはロープの網のすきまに手を入れて草の葉をちぎり
「はい、どうぞ」
と、わざと鷹揚(おうよう)にピピにさしだしました。
ピピは
「かぱっ!!」
と口を開け、
「むちゃ、むちゃ、くちゃ、くちゃ、くちゃ!!」
くちびるをあっちにめくり、こっちにねじり、ずるいわたしを薄目でにらんだまま、草を食べるのでした。