すると、海とは反対側の山の斜面の下に、道路わきがふくらんでいるところがありました。
二、三台のトラックや、軽自動車が停まっています。
わたしがそこに車を停めると、ピピは大喜びで車から降りました。
でも、わたしは一瞬で顔をしかめました。
ゴミだらけなのです。
駐車用に舗装された部分も、斜面の草むらも、空き缶、弁当がら、お菓子の袋・・・
だけど今は、とにかく急いで、わたしたちは山への小道を登りはじめました。
ただ、今はもう、夕方になりかけています。
あまり奥深くへ入りこみたくはありません。
ピピは、のそのそと林の中へ、中へと歩いていきますが、わたしは道端で立ちどまり、できるだけ伸ばした腕で引き綱を持っていました。
「ピピ。うんこするのならそこでして」
すると、ピピはさっそくそこでお尻をまるめたのです。
やっぱり、ピピはトイレをがまんしていたのでした。
「ねえ、ピピ。ちゃんとうんこしたねえ?」
ピピのお腹が晴れ晴れした喜びで、わたしも晴れ晴れ、ニコニコとピピをほめました。
でも、ピピ自身は晴れ晴れし足りないのか、もっともっと山の中へ分け入りたそうにしています。
わたしは心を鬼にしてピピを止め、車へもどりました。
ピピは・・・、もちろん、車に乗りたがりません。
ピピはもっと、地面を歩いていたい。
化学物質の悪臭たちこめる車の中より、いい匂いに満ちた枯葉のじゅうたんの、山の空気を吸っていたいのです。
そんなピピの気持ち、痛いほどわかる。
わかりますが、でも、もうどんどん暗くなってきています。
「ピピ、くるまにのって」
ピピは嫌がります。
「ちび! のって!!」
鬼目のわたしに、ピピはようやっと、車へ乗りこみました。
それから、わたしたちはまたしばらく海岸のカーブをくるくると走り、やっと見えた懐かしい橋を渡り、ぶじに「我が家」へたどりついたのです。
長いドライブおつかれさん、ピピ。
