で、ピピはそのあとしばらくの間、とても静かでした。
・・眠っているのでしょうか?
だとすると、わたしはピピが少しでも車に酔わないように窓を開け、風を入れていますから、寒いかもしれません。
空気は入れる、でもピピは寒くないように。
そう考えたわたしは、後ろの座席のピピに「ふとん」をかけようとしました。
助手席にある、ピピの緑の縞模様バスタオルのはじっこを左手でつかみ、その左腕だけを後ろへ伸ばします。
運転しているわたしの体は前をむいたまま、タオルを後ろへ投げかけるのです。
しゅいっ!
しゅいっ!!
だめです・・・・・・・
腕をうごかせる範囲がせますぎて、タオルはピピに届きません。
しゅいいっ!!
しゅいいいっ!!
いっしょうけんめい腕を伸ばし、下手くそにタオルを振るわたしに
(なにやってるんだろう。こまったヒトだな・・)
そんな、ピピの怪訝(けげん)な顔がルームミラーに映り、しばらくしてピピは
ぴょん
と飛んで、助手席に移ってきました。やれやれ・・
車はやがて、海岸に沿って走ります。
そのカーブを曲がる時、ピピが、小さなゲップをしました。
「げふ・・」
ん? んん?
そのゲップが、臭いのです。
それは、「おなら」というか、はっきり言って「うんこ」の臭いがするのです。
「ピピ? うんこがまんしてるの?」
ピピは何も言わず、すました顔で座っています。
でもわたしは、ただちにピピのための休憩所を探しました。
だって、ピピが助手席で、うんこの前のくるくるダンスを始めたら、もう「手遅れ」なのです。
