何故ギャルバンというのは最高なのか?それは音楽に求める根本的な物の違いにあって、例えばギターが上手くなりたいとか、歌が上手くなりたいとか、そういうのは本当にどうでもよくて、楽器が好き、演奏が好きなだけではそれはほんとうにただの音が鳴っているだけの音楽にしか成り得ない。もちろん世の中にはそれで満足するという人は沢山いるけど、音楽の中だけに納まってしまうというのは少々退屈だ。音楽という枠の中にありながらその枠を飛び出すには、音楽に固執していては何も始まらない。Punk/NewWaveというものの美学があるとしたら、それは音楽の事なんて考えないほうがいいという事だろう。なにか極端な事を言っているような気もするが、音楽が好きであると発言する事に対して何の気恥ずかしさも持ち合わせていないようでは、それは趣味の範囲内で満足してしまえるものだと判断する。とにかく、どうにかして音楽というものにひと泡吹かせてやりたいのだ。音楽をやるからには音楽を超えたい。
マラリア!は、80年代ドイツの所謂ギャルバンではあるが、そういった「技術」としての音楽的な志向に収まるところは全く無く、エッジの強い「音」としてのアイディアをバンド演奏で完璧に表現している。この「完璧」というのは、楽器の練習に明け暮れるギター野郎や、演奏が上手い下手だけで音楽の価値を決めてしまうテクニック至上主義の男リスナーには一生かかっても到達できない高みであると言える。とにかく、音楽なんてのはどういったイメージを生み出せるかにかかっていると思う。あいつは楽器が上手いとか、あのバンドは演奏が上手いなんて思われるために音楽をやるなんてのは嫌だし、女だからこそ生み出せる想像力には心底嫉妬するのだ。
Compiled 1981-1984/Malaria
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