今回は、4月28日前後に書かせていただこうと思っていたことを、前倒しで書かせていただきます。こうなったことが幸なのか不幸なのか、僕には分かりませんが、ごく一部の日本人による『ノーベル賞自薦問題』のお陰で、予定より、少々早まりました。
我々は、62年前のあの日、1952年4月28日以来、何を為すことを怠ってきたのでしょうか。日本は、太平洋アジア地域では、ハワイ王国に次いで2番目に、近代憲法を制定し、立憲政治を始動させた国であり、憲政という"分野"においても、大変由緒のある国であることは、衆目の一致するところでしょう。
もちろん、何かを始動させることと、それを実現させることが、別物であることは、言うまでもないことですが。
この国の現行の憲法である日本国憲法の、9条1項は、過日、採り上げさせていただきましたので、今回は、9条2項に言及させていただきます。
日本国憲法9条2項
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
前項である第1項では、全ての様式の戦争を全面的に放棄するのではなく、国際紛争を解決する手段としての「戦争」のみを、永久に放棄することを明示しており、それを受けて、この第2項があり、2014年の今読めば、大変、奇異に感じます。なぜ、奇異に感じるのか。全ての様式の戦争を全面的に放棄した訳ではないのに、戦力の不保持を謳っているからです。
しかし、1946年11月3日の時点に立ち返って読めば、それほど奇異に感じないはずです。なぜ、それほど奇異に感じないのか。当時、日本は、連合国(United Nations、the Allies)の占領下にあり、連合国の戦力、武力によって管理されており、連合国の占領が続く間は、日本が戦力を保持する余地がなかったからです。
つまり、この第2項は、連合国の占領が終わり、制限されていた日本の国家主権が回復した時点で、削除されるべき条項です。
ホイットニー民政局長(Courtney WHITNEY, Chief of the Government Section at GHQ)も、「日本が、主権回復後、速やかに、この第2項を削除せず、削除しないまま戦力を保持し、軍艦を自衛艦と言い換える等の一時しのぎを、長きに渡って続ける」ことなど、予想していなかったのではないでしょうか。
我々は、あの日からずっと62年間、この第2項を削除することを、怠ってきました。今まさに進行中の拉致事件や、北朝鮮工作船事件、魚釣島における不法上陸事件を採り上げただけでも、9条2項が、どれほど、日本国民の生命、財産を危うくし、かつ、東アジアの力の均衡(balance of power)を不安定なものにしているのかは、明白でしょう。成らず者は、「どうせ、日本人は打ち返さない、いや、打ち返せない」ことを、確信しています。
憲法を改正することは、喫緊の課題です。4月28日を迎えるにあたり、僕は、そう思っています。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則