租税。「租」も「税」も、禾偏(のぎへん)の漢字である。元々は、穀物を納めていたからだろう。たしか、学校の授業では、「租庸調」の祖は稲、庸は労役、調は絹や綿などの工芸品であると、習ったように記憶している。
「税金」という言葉が示すように、現在は、租税は金銭で納めることが大原則で、例外的に、相続税を金銭で納めることを困難とする事由がある場合に限り、国債、地方債、不動産、船舶、社債、株式などの相続財産によって物納することが、認められている。
税金の分類の仕方は、国税と地方税、直接税と間接税など、様々あるが、所得課税、消費課税、資産課税について、少し、考えてみたい。
個人も法人も、誕生してから最期の日を迎えるまで、入金と出金を繰り返す。所得税法において、所得は、10種類に区分され、所得税が課される。
・「入金があったときに納めてもらおう」というのが、所得課税であり、
・「購買のために出金したときに納めてもらおう」というのが、消費課税であり、
・「それ相応の資産を保有していて担税力がある人に納めてもらおう」というのが、資産課税である。
「景気の気は、気分の気。皆が、将来を楽観し明るい気分になれば、財布の紐が緩み、景気が回復するのでは」と、かなり情緒的なことをおっしゃる方が、残念ながら、国会議員の中にも居られる。
が、大半の人は、精一杯、消費をし、購買活動を行っている。住宅ローンを組み、マイカーローンを組む。支払い期限が近づいても、お金が工面できなくて、消費者金融会社から高利で借り入れをし、その支払いに充てる人もいる。大半の人は、目一杯、購買活動を行っている。
「将来を楽観できない」という理由に基づき抑制されている消費の金額は、実は、そう大きくないはずだ。そんなときに、所得課税と消費課税を強化しても、絶対に、国民の生活は良くならないし、国家財政も改善しない。可処分所得を減らすような施策を実行しながら、「消費よ、増えてくれ」と願うのは、やはり、どうかしていると言わざるを得ない。
だいぶ、長くなってしまったので、この続きは、次回、書かせていただきます。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則