米国には、「yellow journalism」という俗語がある。New Oxford American Dictionary で調べれば、「journalism that is based upon sensationalism and crude exaggeration」と、ある。大資本のマスコミは全て、構造的に、多かれ少なかれ、イエロージャーナリズムであると、私は思っている。
米国の三大ネットワークと呼ばれる、ABC、CBS、NBC(アルファベット順)に、対抗する新しい勢力として、ケーブルテレビのCNNが契約者数を伸ばしていたころ、世界中の事件や事故の現場から、最初に取材報告するのは、大抵、CNNだったように、記憶している。それが、売りの一つだったはずである。
「現代は、情報社会、情報化社会である」と、言われて久しい。今回、凄惨なテロ行為が発生した現場が、サハラ砂漠の真ん真ん中であるとは言え、あまりに、発信される情報が少なく、また、錯綜している。新興勢力だったCNNも、時が経てば、費用対効果を考える出資者、大株主の意向に従う普通のマスコミになるということだろうか。
それにしても、ここ数日、言語による情報格差を、感じずには居れない。日本政府は、「全力で情報収集に当たっている」と言うが、具体的には、誰かが発信した情報を、つまり、加工済みの情報を、集めるのみであるから、どうしても、浅い内容の情報が遅れて入ってくるだけ、である。
民間企業の情報収集には、限界がある。深い内容の情報を集めるには、諜報活動が不可欠である。人命を守るためにこそ、諜報活動が必要。今は、そういう時代ではないだろうか。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則