現在の与党を与党たらしめた衆議院議員総選挙において掲げた政策と、相容れない政策を、前言撤回の説明もなく推し進めることが寛容され、野党第一党が、そういう与党と手を組むことが寛容されるのならば、もはや、衆議院総選挙において、選挙公報を発行し各戸に配布することも、配布された選挙公報を各有権者が真剣に読むことも、意味が無くなってしまう。
仮に、野党第一党の執行部が、「消費税率を引き上げれば、一般会計税収が増える」と、固く信じているのであれば、政権を取ってから、消費税率の引き上げを推し進めるべきである。
僅か2年11か月前に掲げた政策と相容れない政策を、前言撤回の説明もなく推し進めていることだけを採り上げても、内閣不信任決議案を提出する理由として、充分である。
96(平成8)年度の一般会計税収の額は、52.1兆円。97年度の初日に、消費税率を3%から4%に引き上げて、一般会計税収は微増し、53.9兆円になった。が、98年度以降今に至るまで、一般会計税収の額は、消費税率引き上げの前年度である96年度の額を、大きく下回ったままである。本年度の一般会計税収の予算額は、僅か42.3兆円である。
モルヒネ中毒になり、気弱な店主がいる薬局を探して市井をさまよい歩く廃人。太宰治は、『人間失格』の主人公を、そう描いた。消費税の効きが弱くなったので、もっと濃い消費税を求めてさまよい歩いている者。それが、今の民自公の執行部であり、財務省である。
5%が8%になり、10、20、32になっても、依存症状を有している人は、もっと濃いのを求めるだけである。
通貨制度の本来の目的は何か。その通貨によって価値が付与されている金融資産に対する税制は、どうあるべきか。ストックを軽視している限り、この泥沼から脱け出せず、国力は、どんどん低下し続ける。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則