サブプライムローン債権という、貸し倒れの危険性が大きい債権を証券化し、あの手この手を使って、この証券の素性を隠し、格付け会社から高い格付けを得て、世界中で売りさばき、暴利を得た者がいる。
サブプライムローンによって膨れ上がった、米国の不動産バブルは、すぐにはじけ、都市部周辺にある新興住宅地では、"FORECLOSURE"や"FOR SALE"のステッカーが貼られた家屋が、増えていった。
このサブプライムローン問題によって、ヨーロッパのいくつかの国の累積財政赤字額が、拡大した。日本の累積財政赤字額と、対テロ戦争を続ける米国の累積財政赤字額は、そのずっと前から拡大している。以前も書かせていただいたが、多くの先進国で財政赤字が慢性化し、財政危機が叫ばれているのは、決して偶然ではない。
税収が減ったからだ。株主至上主義の下では、資産格差が広がり続け、個人資産の偏在の度合いが、強化され続ける。投機に充てるお金が増え続け、消費に充てるお金が減り続ける。デフレである。大半の国の税制は、個人の所得および法人の利益を、主要な課税対象としているので、デフレになれば、税収は、確実に減る。
1944年7月に、45の国が、米国のブレトンウッズに集まり、国際通貨基金(IMF)協定を採択した。現在の国際通貨制度は、あの戦争で勝った者たちが、彼らだけで決めた制度である。その制度が、行き詰まっている。
あの戦争で勝った者が、この行き詰まりを打開する知恵を出せるとは、私は思っていない。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則