*労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
*公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
*国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
内容的には特に脈絡はない3つの条文を、書き並べてみました。共通することは、それぞれの内容が、とても理想主義的であることと、そして、どれも、連合国(実質的には、米国)の占領下の1947(昭和22)年に、施行された法令の条文であることである。ちなみに、順に、労働基準法1条1項、日本国憲法15条、財政法4条1項である。
米国連邦政府の公的債務の上限を定めている法律、Public Debt Act(公的債務法)が、最初に成立したのは、どうも1939年のようである。世界恐慌の発端となった株価大暴落が起きたのが、1929年10月24日の木曜日である。膨れ上がる公的債務に歯止めをかけることが、急務だったのだろう。
占領政策の大きな目的は、敗戦国を弱体化させることであるが、敗戦国である日本の占領政策を担った者は、ある意味で、理想をそのまま、日本の新しい法令に取り入れようとしたのかもしれない。
(集合体としての)日本国民は、内閣総理大臣という公務員を罷免する権利を有しているそうだけれど、罷免するすべなど、無いに等しい。請願法に基づく請願に、どれだけの効力があるというのか。
来週以降、さらなる円高が予想される中、歴史を確認しておくことは大切であると、思う。
神奈川県にて
佐藤 政則