米国連邦政府の債務が、会計年度(10月1日から翌年9月30日まで)の期中である5月16日に、法定の上限に達した。期中において、こういう状況が生じること自体、異常なことである。さらに異常なことと申し上げるべきは、2か月以上経っても、いっこうに、どう対応するかが決まらないことである。2009(平成21)年に就任したオバマ米国大統領にとって、最大の危機では、ないだろうか。
米国の政府債務の法定上限は、通常であれば、成立した予算に合わせて、ほぼ"自動的に"引き上げられてきたようである。なぜ、今回に限って、そうはならなかったのだろうか。
米国の、2012会計年度(2011年10月1日から2012年9月30日)の予算教書の概要が、日本国外務省のウェブサイトにも掲載されていて、そのページの3.の(1)にある、「米国の連邦財政赤字」という題の図表を見ると、米国連邦政府の単年度の赤字額は、2009年度以降、大幅に増加している。
米国の多くの議員が、政府債務の法定上限を引き上げることへの懸念を、共有しているということなのだろうか。いずれにせよ、目の前にある債務不履行を回避するためには、上限を一時的に引き上げるしかない。前述の日本国外務省のページには、「米国の国債残高(2011年度末)は、10兆8560億ドルで、GDPの72.0%である」ことも、書かれている。
日本の国債残高(2010年度末)は、758兆5690億円である。GDPの額を超えている、はるかに超えている。にも関わらず、日本の国会議員は、未だに、子ども手当をどうしようかと、話し合っているようである。所得税の各種控除は、各種の"手当て"である。満額を納税した後に、"手当て"分を還付申告するようにしたら、事務作業の量が膨大になるから、税額が減るように、課税される所得の額を控除しているだけである。
何かを配ることだけが、手当てなのではない。
神奈川県にて
佐藤 政則