私にとっては信じられないようなことだけれど、最近の自動車には、わざわざ空気清浄機を標準装備して、売られているものもあるらしい。
その自動車は、当然ながら、化石燃料を燃やし有害な排気ガスをまきながら、公道を進む。遠い異国の地から、ホルムズ海峡を通過しマラッカ海峡を通過し運ばれてきた化石燃料を、燃やす。燃えるものを大量に運ぶわけである。テロを行おうとする者にとってみれば、標的である。だから、力の均衡が崩れないように、必要に応じて、地球上の様々な場所に、軍隊が存在している。エネルギー源を安定的に手に入れるという国益が損なわれないように、日夜、活動している。
そういうことを考慮に入れて運転されておられるのかどうかは、伺ってみないと分からないが、きょうも、空気清浄機を積んだ車が、有害な排気ガスをまきながら走っている、と思う。山陽自動車道を、車がひっきりなしに往来する音が、今、この文章を書いている最中も、聞こえている。
自分が吸う空気をきれいにすることには、とても熱心だけれども、自分の車が通過する周辺で生活している人が吸う空気がどうなるかということには、あまり関心がない。
様々な抗菌グッズや消臭剤や洗剤を買い、我が家を快適空間にすることには、とても熱心だけれど、それだけの化学製品を製造し消費することが、どれだけ環境に負荷を与えるかには、あまり関心がない人が、多いような気がする。
心を目で見ることはできないけれど、長い目で見れば、心は行動に反映されるので、行動を見れば、心の様子が少し分かる。選挙においては、立候補者がどういう心の持ち主か、よく吟味することが大切だと思う。
郵政かいかく法案の審議における政治家の行動を見て、そういうことを思った。