農民工と富裕層 | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 現在、多くの人が、自分の生活や自国の経済に不安を感じていると思います。人も会社も、支出を減らして収入を増やすように動くので、賃金は、最低賃金に向かって下がり続けます。

 鎖国をしているのであれば、最低賃金を引き上げれば、ある程度は、経済不安を解消できるでしょう。しかし、現在は、安くて質の良い労働力を求めて、工場そのものが移動していく時代です。

 同一の市場においては、ほぼ同じ性質・性能のものは、ほぼ同じ価格に落ち着きます。労働市場は、ある意味で、世界で一体化しつつあるのに、各国の最低賃金は、差があり過ぎると思います。東京都の最低賃金は時給791円、米国の連邦最低賃金は時給7.25ドル、北京市の最低賃金はおそらく時給4.6元。ざっくり言えば、東京都791円、米国680円、北京市63円。

 そして、中国の沿海部においては、農民工と呼ばれる出稼ぎ労働者を、時給100円以下で働かせることによって、一部の中国人が豊かになっている。沿海部が豊かだからといって、農民工は、簡単には戸籍を沿海部に移すことができない。だから、家族を残して出稼ぎに出るしかない。北京市民の平均年収は、約60万円。農民工と北京市民との所得格差は、実に4倍以上。

 つまり、中国の最低賃金は、農民工の賃金を抑えるためにあって、農民工の低賃金によって、一部の中国人が豊かになっている。農民工の賃金が、極端に抑えられているために、多くの日本の工場が閉鎖された。これでは、農民工も日本の工場労働者も、厳しい状況に置かれたままになる。

 人口が多い、ということは農民工の人口も多い中国の最低賃金が今のままでは、どの国においても、経済不安は解消しない。根の深い問題だと思います。