雪組公演 仮面のロマネスク | 続アメマのおとしもの

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2024年4月12日~5月6日 雪組全国ツアー公演

 

雪組トップスター彩風咲奈が退団発表しましたが、まだ次期雪組トップスターは発表されていません。夢白あやは続投しますので、この全ツがそのまま次期雪組トップコンビとしてなるように思いますが、昨今の宙組情勢もあってスムーズに行くのかどうか?

それは置いといて、全ツは二作品とも再演ながらも、注目の演目でしたので結構なチケ難。運よく梅芸会員の先行で取れたものの、シフトの都合で夜勤明けの観劇となりました。

 

梅田芸術劇場メインホール 4月13日16時30分公演、1階18列目で観劇。

※ネタバレ注意。

●ミュージカル「仮面のロマネスク」 脚本/柴田侑宏 演出/中村暁

 

近代フランス心理小説の傑作でありながらも、そのスキャンダラスな題材ゆえに世間から長く異端視されたラクロの「危険な関係」を原作としたラブ・ストーリー。1997年に高嶺ふぶき、花總まりにより初演、その後再演を重ねてきた宝塚歌劇の名作の一つ。
動乱に揺れる1830年のフランス宮廷を舞台に、周囲の女性たちを次々と虜にしていく美貌の青年貴族ヴァルモンと若き未亡人メルトゥイユ侯爵夫人の冷徹で官能的な大人の恋の駆け引きを描く物語において、心に仮面を被らなければ生きられない二人の姿を重厚かつ華麗に描き出す。 

 

もちろん初演は観てますし、その後の中日の大空祐飛、二度の全ツの明日海りおも観てます。正直、初演は私個人的にはそう面白いとは思わなかったんですね。再演の度に少しずつ面白く感じて来ました。今回はポスターが出来た時点で、目力の強い二人に「濃いなぁ」と思いつつも、結構期待値が高まりました。

芝居を見終えた時点での率直な感想は、二番手主演の全ツとは思えぬ出来栄えで、コンビネーションも良かったです。しかし彩風コンサート組と分かれているため、主要な役どころの物足りなさも感じてしまい、かなり主演の二人で引っ張っていたと思います。物語は分かってるし、洋風「源氏物語」な感じで、あっちこっちの女性に手を出します。そこに観劇側の共感を得れるかというのが、この物語を楽しめるか否かのポイントで、私は初演時にはそこに共感が得れなかったため楽しめなかったのかなと。今ならそれが分かるかと言えば、それはね・・・(笑)。  この作品でややこしいのが登場人物の名前を姓で呼んだり、名で呼んだりするので混乱します。何度も観てるとそこらへんは理解できるのですが、最初はややこしいと思います。

 

全ツ初主演の朝美絢は、青年貴族ジャン・ピエール・ヴァルモン子爵。

幕開きのセンターで振り返った時点で、もう観客のハートを掴むほどの圧倒的存在感がありましたね。貴族ながらも砕けた雰囲気と、相反する品の良さ。そしてスケベの一歩手前のプレイボーイさが秀逸でした。歌はめちゃくちゃ上手い訳ではないけど、声量があるから聞いていてもストレスがありません。夢白と並んでいると、ビジュアルの良さに目を惹かれましたね。

 

貴婦人フランソワーズ・メルトゥイユ侯爵夫人を夢白あや

初演の花總まりほどの気品はないものの、手練手管に長けた貴婦人の色気は抜群でした。現在の5組のトップ娘役の中では一番下級生なのに、こういう役を違和感なくやれるのはなかなか大したもの。台詞回しをかなりゆっくりにしていたり、声も囁くようにしていたりと、これまでのメルトゥイユにはないやり方をしていましたね。歌が少々雑に聞こえたところもあるので、そこをもう少し丁寧に歌えばかなりの仕上がりになると思います。

 

二番手格の縣千は、青年貴族フレデリーク・ダンスニー男爵。

幕開きでは狂言回し的に登場しますが、いざ本編が始まるとそうでなく、明るい青年。初演の轟悠がイマイチな出来でしたが、縣は明るく爽やかに小心者をやってのけました。歌を頑張って欲しいですね。

セシルの婚約者ジェルクール伯爵を咲城けい

ここは大人な落ち着き払った男性なので、咲城ではちょっと物足りなさと幼さが出てしまいました。

法院長夫人のマリアンヌ・トゥールベル夫人を希良々うみ

貞淑な女性ながらも、ヴァルモンによって変わってしまう役で、これまで星奈優里、藤咲えり、仙名彩世、桜咲彩花という色気のある大人な生徒が演じただけに、今回抜擢された希良々は苦戦していたと思います。貞淑さはあったと思いますが、他の男を知ってからのインパクトが弱かったかな。

ジェルクールの婚約者のセシル・ブランシャールを華純沙那

純真無垢な少女を好演し、昨年のドラマシティでも芝居心の高さが見え、今回もなかなか良かったです。

ヴァルモンの従者アゾランを聖海由侑

フットワークの軽さと、主人同様のプレイボーイさが面白かったですね。

その恋人でトゥールベル夫人の小間使いジュリーを音綺みあ

なかなか可愛かったです。

 

 

こうやって見ると縣以下の生徒に弱さがあり、かなり濃厚で大人な世界を描いた芝居だけに、主演の二人を除くと主要な役どころに物足りなさを感じました。

若手の抜擢も大事だし、それも生徒個人には勉強で、これからの役作りになればいいと思います。

夜勤明けでしたので、案の定途中で睡魔が来ましたけどね。