ラブカは静かに弓を持つ
あらすじ
2023年本屋大賞第2位
第6回未来屋小説第1位
少年時代チェロ教室の帰りに
ある事件に遭遇し
以来、深海の悪夢に苛まれながら
生きてきた青年
ある日 上司から呼び出され
音楽教室への潜入調査を命じられる
目的は 著作権法の演奏権を
侵害している証拠を掴むこと
青年は身分を偽り
チェロ講師のもとに通い始める…
師と仲間との出会いが、奏でる喜びが
青年を悪夢から解放していくが
法廷に立ち証言する時間が迫り…
傷を抱えた潜入調査員の孤独な闘いを描いた
スパイ×音楽小説
私の感想
ラブカって何だろう
と思っていたら作中に説明がありました
一部抜粋すると…
「醜い魚の名前だよ。ラブカっていう深海魚」
素性を偽って平穏な市民生活に潜り込んでくる
敵国側のスパイのことを
(古いスパイ映画の)作中で
そう呼んでいるんだって
と何も知らない浅葉が言う
ラブカはね
世界で一番妊娠期間が長い動物だって
言われているんだ。その期間は3年半
非常に慎重な生き物でしょ
それになぞらえて作中では
諜報員の隠語がラブカなんだ
気が遠くなるほどに長い間
暗い海の中で息を潜めて敵方の情報を
膨らませ続ける周到なスパイ…
このセリフを言っているのは
チェロの講師であったり
チェロ教室の仲間であったり…
潜入調査員とラブカが
こわいほどに重なります(^◇^;)
スパイとして潜入した先で
講師や仲間たちと出会い
青年は自分の居場所を見つけてしまう
いいのか 悪いのか…
その心の葛藤はまさしく
光が届かない真っ暗な深海
私も読んでいて辛いなぁ〜
って思いました
でも辛いばかりではなく
その真っ暗な空間に開く小さな小窓
その小窓が温かく安らげるんです
チェロは弦楽器の中で最も音域が広い
と言われています
ヴァイオリンのように高らかな音色も
コントラバスのように重厚な音色も
奏でることができます
そんなチェロの音色を聴いているような
素敵な作品でした
私は音楽小説を読むときは
作中に登場する曲を聴きながら
読むことが楽しみです
ですから、今回も
作中にメインに登場する
「戦慄きのラブカ」を聴きたいと
思ったんですが…
コレは架空の曲らしいです(^◇^;)
その他の登場曲「無伴奏チェロ組曲」
などをYouTubeで流し
チェロの音色に包まれながら
素敵な読書時間を楽しみました
こんな人におすすめ
万人におすすめできる作品だと
思いますが
特にスパイものが好きな人
音楽が好きな人にオススメです