術後の夜・・(2019/4/18) | ターサンの冒険(たまに暴言)

ターサンの冒険(たまに暴言)

ターさんです。日々の思う事、感じたこと、登山やドライブの事(時には愚痴など)を備忘録代わりに書いていこうかなと思います。
 が、その前に先ずは5年前に診断された間質性肺炎のこれまでの経過を記録に残しておきたいと思います。

 

 何はともあれ無事に病室に戻ってくることができました。

 ナースステーション横なので入れ替わり立ち代わりで看護師さんたちが様子見に来てくれます。

 付き添いの相方さんと術中に見た夢のことや5%の人にならなくて良かったねえ、などと笑顔で話していたのでありました。

 

 ところが、意識がはっきりしてくるにつれ確実に麻酔が切れていくのが判ります。

 2時間も経った頃にはドレーンが突き刺さっている右胸の奥深くがズキズキと痛み始めました。

 看護師さんに言うとすぐ痛み止めをもってきてくれましたが、それを飲んでも痛みは酷くなるばかり。

 自分では結構強い方だと思っていましたが、だんだんと激痛に耐えられず顔をしかめて会話どころか息をするのも辛くなってきました。

 体が動くたびに胸の中でチューブも動き傷口や神経を刺激している感じです。

 

 看護師から呼ばれた医師が来てくれて、「う~ん、これは強い鎮痛剤の注射を使った方が良いかもね、だけどなあ・・」と口ごもります。

 効くには効くらしいけれども副作用も強くて、かなりの吐き気が起こるのだとか・・。

 それでも今のこの状況を考えたら痛みより吐き気の方がましだと考え、目をつぶったまま小さな声で「お、お願いします・・」と訴えたのでした。

 

 さっそく注射をしてもらい、お、なるほど、なるほど・・・

 しばらくすると耐えられないほどの激痛が少しづつ和らいでくるのが解ります。

 「助かったあ・・」と一息ついたのも束の間、今度は急に胃のあたりがグルグルと鳴り始めて内容物がボコボコと噴射しそうになる感覚が走りました。

 

 ベッド横で看護師と話している相方さんに必死の形相で「早く、はやく・・そこの・・」とテーブルにあった膿盆を指さして叫び、渡されたそれを受け取ると顔の前に構えた瞬間に激しく嘔吐。

 それが10分置き位に何回か続いたのですが、何とかそれもだんだんと落ち着いてきて、痛みの方も我慢できる状態にまで収まっていきました。

 

 そういうこともあり、体中にコードがくっついている状態では寝返りもできる訳なく今夜は眠るのは諦めました。

 ただ、もうひとつ大きな問題があります。

 まだ尿が出ていないんです。

 トイレに行けば何とか出せると思うのですがベッドの上で大の字のまま股間に置かれた尿器に「はい、どうぞ」と言われてもなかなか出るものではありません。

 

 夜中に当直の若い看護師さんが何回も入ってきて「朝までにせめて300㏄くらいは出さないと腎臓に良くないんですよねぇ。そろそろ先生に連絡して来てもらいましょうか・・」と心配する。

「もう1回挑戦してみます」と答えて、今度は横で仮眠していた相方さんも外に出てもらい、部屋の中で一人集中し、排尿のことだけを考えた・・・のですが残念ながら出ない・・

 どんだけプレッシャーに弱い男であろうかえーん

 

 ここに至って、看護師さんがついに動きました。

 「いざ!」と腕まくりをすると何やら準備を始めて最後の手段に打って出たのであります。

 そう、真夜中の導尿!

 これが嫌だから手術中の導尿も拒んだのに、結果的には深夜の密室でこんな格好のまま若い看護師さんの手を煩わせることになるなんて・・「元も子もない」とはこのことかデレデレ

 

 でも緊張しているのはこちら側だけで、向こうは若いとは言え看護のプロであります。

 手際よく〇〇の先っぽにシリコンチューブを差し込むとスルスルと挿入していく。

 すぐに出口を解放されたオシッコたちが歓声を上げて尿器にジャブジャブと飛び出してきました。

 看護師さんは全量を採りおわると「良かった。きれいなオシッコが500くらいは出ましたよ。」と爽やかな笑顔を残し、オジサンの尿を持って部屋を出て行ったのでありました。

 

 少しホッとしたとは言え、隣で眠れないでいる相方さんを見たら「こんなことなら変な意地を張らずに術前に尿管を入れてもらってた方が正解だったよなあ・・」と反省するオジサンなのであった。