「民間大水滸」解宝、蛇を斬る その17 | 水滸伝ざんまい

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中国四大名著の水滸伝について語るブログです。
原典メインのため、北方および幻想はありません。
悪しからずご了承ください。

 

金竜は、解宝の言葉を聞くなり、

急いで祖母に向かい、

「おばあちゃん、

おれも解宝のおじさんについて行くよ。

一緒に妖怪を退治するんだ」と言った。

 

すると、祖母は涙をぬぐいながら、

何も言わずにもう一度、

解宝の足元に土下座した。

 

解宝は、すぐに老婆の手をとって助け起こし、

「そんなに頭を下げなくてもいいさ。

民のために悪を退治することこそ、

おれたち義軍のつとめなんだから」と答え、

 

そして、金竜のほうに向きなおると、

「あんたは今日中に支度をしておくんだ。

明日の朝は、洞窟の入り口で

おれが行くまで待っていろ」と話した。

 

次の日、解宝は朝はやく起きて食事をすませると、

つき従ってきた手下たちに、

「おまえたちは、山頂で湖の周辺の動きを見張っていろ。

もし官軍がやって来たら、すぐさま山寨に報告に戻れ」

「おれは別の用事をすませてくる」と言うなり、

背中に弓を負い、手に刀をさげ、

竜泉洞に向かって歩き出した。

 

解宝がまだ洞窟の入り口にたどり着かないうちに、

誰かが大きな声で呼びかけてきた。

「おじさん、おれはあなたがいつ来るのかと、

さっきからずっと待ってたんだ」

声の主は、昨日山で出会った金竜だった。

 

竜泉洞の入り口まで来ると、解宝は金竜に向かい、

「金竜、少し面倒なんだが、

おまえにやってほしいことがある。

化け物はずるがしこいから、

人が大勢いるところには出てこない。

おれがやつを退治するには、

ひとりで行くしかないだろ?」と話しかけた。

 

「だから、おまえは山頂へ登っていって、

おれの代わりに見張りをしている手下たちのところへ行き、

官軍が来ないかどうか、一緒に見張っているんだ。

もしやつらが来たら、すぐおれに知らせに戻ってこい」

そう聞かされた金竜は、うなずくなり、

あわただしく山の方へと立ち去った。

 

妖怪退治だけでなく、

当初の目的でもある探索の任務もあり、

なかなか忙しい解宝です。

この続きは、また次回で。