しばらくすると、かれの体はそのまま浮き上がり、
当たり前のように地面から上に昇っていき、
また頭がぼんやりとして雲に乗ったような気分になってきた。
金竜はひどく恐ろしくなり、大きな悲鳴を上げると、
ふたたび体は岩の上に落ちてきた。
仲間の子供たちはかれの悲鳴を聞きつけて、
われ先に洞窟の中へ駆けこんできては、
「どうしたの?」とか、「なんで叫んだのさ」と口々にたずねたので、
金竜は、今しがた寝ていたときに起きた空中浮遊の出来事を、
最初から最後までくわしく話した。
すると、子供のひとりが、
「金竜兄ちゃん、下に落っこちないようにすれば、
きっと神仙になれるんだ!
さもなきゃ普段から何度も練習していれば、
きっと出来るようになるんだよ」と言い出したが、
金竜はただ首を横にふって断るだけだった。
この事件の話は、だんだんと尾ひれがついて広まっていき、
幼い子供たちの幾人かは、
自分たちも空中浮遊の不思議な体験をしたいと、
夢想するようになった。
怪しい現象の正体よりも、
素直に空を飛ぶことにあこがれる幼い子供たち。
このままでは一体どうなることやら。
この続きは、また次回で。