アポストル / 復讐の掟
過去の出来事により自暴自棄な生活を送っていたトーマスは、自身が唯一大切に思っている妹ジェニファーがカルト教団に誘拐されたことを知る。
トーマスは入信者を装い、カルト教団の巣食う島に潜入。
一見すると一般的な村のように見えたが、少しずつその島の異常性を知ることになる──
【簡単な説明】
・ミッドサマーからカルトっぽさを抜いた映画
・ストーリーは考察寄り
・微妙
カルト教団に攫われた妹を救出すべく、兄が奔走するホラー映画。
ネットフリックスオリジナルでもあります。
単刀直入に述べるなら微妙。
まず致命的なのはカルト教団と言う割に、カルトらしさが少ない。
正直「ちょっと規律が変な村」レベルであり、禍々しさや歪さが圧倒的に足りておらず、緊迫感を煽るには少々弱いかなと感じました。
というのも敵である教団の幹部が、この手の映画には珍しく俗物的な思考をしているのが、カルト要素の減少に繋がっているようにも思えます。斬新ではありますが、メインのはずの“カルト”が希釈されてしまっては元も子もない。
登場人物の掘り下げも甘いので、感情移入しにくいのも難点。
もう少し主人公の背景を掘り下げてくれたら、また違ったかもしれません。
評価点は終盤にようやく出るカルトっぽい演出。
独特な処刑方法は個人的には好みでしたし、教団が崇めている存在もなかなか良かったです。
惜しむらくはカルト的演出がそれぐらいしかないところ。もっと最初からこんな風にしていてくれたら、評価はもっと違ったかもしれません。
際立ったウ○チ映画ではないにせよ、良作とも言えない、最初に申した通り微妙な映画。これで約2時間はちと長い。
モービウス
天才医師マイケル・モービウスは、幼少の頃から血液の難病に苦しめられており、その治療方法を模索していた。
そして吸血コウモリの血清を利用することを思いつき、自らに投与する。
果たして治療は成功し、病を克服したモービウス。
しかしその直後、モービウスは人智を越えたパワーとスピードと共に、激しい吸血衝動に襲われてしまう。
何とか平静を取り戻したモービウスは、この薬は危険と判断、廃棄しようと試みる。
……が、彼の親友であり、同じ病に苦しむマイロが、密かに薬を奪ってしまい──
【簡単な説明】
・ソニーズスパイダーマンユニバースの映画(SSU)
・ダイナミックな映像は見事
・締め方があっさり塩味
マーベル・コミックに登場するキャラクターをベースにしたアクション映画。
ストーリーは至ってシンプルかつ、初期の頃のMCUと酷似したような設定。良く言えば原点回帰、悪く言えば陳腐です。
同じ系列の他の主人公と比べると、モービウスの人物像もインパクトに欠けている印象。
初っ端から血清の危険性を把握してしまったことで「病から解放された喜び」が、親友マイロとの繋がりがそこまで掘り下げられなかったことで「親友を倒さなくてはならない葛藤」が描写されずに終わってしまったことも、インパクト不足の要因かとも思いました。
最後もやけにあっさり終わってしまったのも残念。もう少し盛り上げてほしかった。
脇を固める登場人物らに大してフォーカスしていないのも、他の作品と比べて見ると寂しく思いました。コンパクトに纏めすぎましたね。
反面、アクションシーンはこの手の映画に漏れずダイナミック。
高速移動した軌跡を霧のように表現するのはシャレオツです。
このクオリティはやはり素晴らしいと思います。
だからこそ、アクション以外の面にももっと目を向けてほしかったです。
余談ですが、マイロ役は「ラスト・ナイト・イン・ソーホー」にも出演していたマット・スミス氏。
あの彫りの深い顔はかっこいいですね。
ドント・サレンダー / 進撃の要塞
暗号通貨業を営むポールは、音信不通だった父親・ロバートがある高齢者施設にいると知り、そこを訪れる。
しかし時を同じくして謎の武装集団が施設を襲撃。すると医療機器の販売業者であった筈のロバートが、銃を片手に応戦し始めた。
事態を飲み込めぬポールは、ここがただの高齢者施設ではないと知らされる──
【簡単な説明】
・ブルース・ウィリス主演のアクション映画
・なのに凡作
・要塞は進撃される側
ただの爺さんと思ってたら、まさかのメチャ強だった……という、昨今のアニメやらなにやらでも題材となる設定のアクション映画。
ブルース・ウィリス主演!……とあったので期待して見ましたが、悪い意味で期待を裏切られました。
テンポの悪い展開、緊張感に欠けるドンパチシーン、凡庸なストーリー、チープな演出&舞台と、悪い部分が目立つ内容。
特に舞台の作りが本っっっっっっっ当に安っぽい!!!
普段はそこまで小道具や舞台を意識しない私ですが、そんな私ですら違和感を覚えてしまうほどチープさを感じてしまいました。
舞台の設定は納得がいくだけに、そのチープさを際立たせています。
テンポもアクション映画としてあるまじき劣悪さ。
途中からげんなりしていました。
評価点は登場人物の個性。
高齢者施設の警備を担当するとあるキャラクターは、人一倍個性的でした。全開におっ立てた死亡フラグを尽くへし折っていく様は、完全に主人公たちの印象を食ってました。よくよく考えたらあんま良くないなそれは。
大物主演でも、やはり他の部分がなおざりになっていると凡作に成り下がると、嫌でも教えてくれる映画でした。
あまりオススメはしません。
あと、要塞は進撃される側であり、決して進撃しない点には注意。移動要塞じゃないんだから。
まとめ
脚本や演出、主演の存在はもちろん重要ですが、脇役や小道具、舞台といったものも同様であると、今回の3作品で改めて思い知らされました。
本編前に「チームバトルのゲーム云々」の話をしましたが、映画もおんなじですね。
どれだけ脚本が秀逸であろうとも、演者や演出等が駄目なら台無しになってしまいますし、その逆もまた然り。
難しいもんですな。
それでは本日はこの辺で。
おしまい。