オペレーション・フォーチュン
◾ストーリー
英国諜報局MI6御用達のエージェント、オーソン・フォーチュンに下された新たなミッション。
それは100億ドルで闇取引される“ハンドル”というブツの調査、回収であった。
MI6のコーディネーター、天才ハッカー、新米スナイパーの即席チームに加え、鍵となる武器商人に近付くために映画俳優も巻き込み、フォーチュンはミッションに挑む。
ガイ・リッチーとジェイソン・ステイサムのタッグ映画です。
テンポ良し、会話良し、アクション良しと、手堅く仕上がっています。
特に今作はステイサムだけでなく、他のキャラクターも際立っていたのが面白い。
主演以外は刺し身の端に置かれるタンポポみたいになってしまう事が多いアクション映画ですが、本作はどの人物も良い味を出しており、チームで動いている様を強調しています。
それだけに、ストーリーに捻りも驚きもないことが残念。
アクション故に明瞭なストーリーにしたかったのかもしれませんが、あまりに普通。つまらなくはないのですが、個人的にはもう少し意外性が欲しかったですね。
スカッとしたい人、難しいこと考えずに楽しみたい方にオススメです。
忌怪島
◾ストーリー
若くして天才脳科学者の片岡は、VR研究チーム「シンセカイ」のチーフであり、同じ脳科学者の井出にチームへの参加を依頼され、忌怪島に渡ることになる。
「シンセカイ」は島全体の仮想空間を作り上げていたが、片岡は更にそこに自身の研究を組み込み、視覚だけでなく匂いや風すらも再現してみせた。
が、突如として仮想空間が変化。片岡の前には一軒家が出現し、そこで謎の女に襲われる男性と井出の姿を目撃。
VRから現実に戻った片岡は、そこで初めて井出が既に死亡していることを告げられる。
井出はなぜ死んだのか、あの一軒家や男性は何なのか、あの女は何者なのか。
調べを進めていく片岡だが、奇怪な現象はVR空間から島中へと広がり始めていく──
ジャパニーズホラーです。私には珍しく邦画ですね。
監督は「呪怨」でその名を知らしめた清水崇氏です。
……で、その内容は……その……ね?
まず常套句になりますが、1つの映画としては完成してます。
ストーリーの破綻やカメラワークの劣悪さ、画面の見辛さ等はなく、俳優さんたちの演技もしっかりしています。
シナリオも昨今流行りのVRへホラーを混ぜ込むという斬新なものであり、どういう攻め方をしてくるのかワクワクさせてくれました。
反面、各登場人物の掘り下げ、VRと怪異の結び付きへの説得力、恐怖を煽る演出が欠けていた印象。
まず、殆どの登場人物の掘り下げが全くないため、感情移入することが難しいです。しかも主人公すらそれなので、一挙手一投足が白々しく思えてしまうほど。主人公なのに……。
VRと怪異という斬新な組み合わせも、本作の設定とは少々相性が悪かったかとも思います。こじつけ感が凄かった。
恐怖演出に関しては中途半端。
呪怨のように笑えるほど出るわけでもなく、かといってリング系のようなジワジワ恐怖が来ることもなく。
「怪異が広がっていく〜」と書いてますが、その描写も乏しいので緊迫感もそこまで。うーん、残念。
先述の通り、映画としては完成しているので、ただ見る分には問題ない作品です。あと、無理やり感動要素を入れる愚行はないので、そういった類いの演出が嫌いな人でも安心(?)して見れます。
そこは素直に評価したいです。
ちなみにより詳しい内容は小説版で解説されているんだとか。
本編でやってほしい。
牛首村
◾ストーリー
女子高生の奏音は、同級生の香月から心霊動画に自身と顔がそっくりの女子高生がいると教えられる。
実際に見てみると確かに奏音と瓜二つである上に、その女子高生は動画撮影中に行方不明となっていた。
奏音は香月と動画の真相を探るべく、道中で偶然知り合ったホラー好きの男性・山崎と共に心霊動画の撮影地へと赴いた。
そこで奏音は、自分や家族の知られざる過去、祖父母の住んでいた「牛首村」の忌まわしい因習を知ることになる。
だが怪異は既にその魔の手を伸ばしており──
またしてもジャパニーズホラーです。
監督は上記「忌怪島」と同じ清水崇氏。
率直な感想として、私は忌怪島よりもこちらの方が好き。
内容と設定が噛み合っていたからかもしれません。
と言っても、あくまで「ホラーテイストが」であり、ストーリー自体は島とどっこいどっこい。
「村の因習」というテーマでしたが、うまく活かしきれていないです。
怪異の方向性?が雑というか、何がしたいのかが不明瞭。
一応、こちらも映画としては完成しています。
面白いかは別としてストーリー自体は破綻しておらず、俳優さんらの演技も悪くなかったです。
なので、もし見るのなら頭空っぽにして見るのがよろしいかと。
どうやら「村3部作」ということで制作されたようで、その内の1つである犬鳴村も去年見ました。出来はお察し。
ただ、犬鳴村には「怖くないver」なるものもあり、そちらは恐怖演出があるところにジョークを挟んでいます。その試みは面白い。
寒い表現ばかりだけどね!
まとめ
今回はジャパニーズホラー2本立て。
……が、残念ながらリングや呪怨の頃のようなワクワクドキドキ感は得られませんでした。
その2つが強過ぎるというのもあるのですが、あとは最近のジャパニーズホラーが、良く言えば“綺麗に纏まっている”、悪く言えば“無難に仕上げてる”ように感じます。
リングは視覚的な派手さを抑え、心理的な恐怖を最大限に活用。言わば“静”の恐怖。
対して呪怨は、その真逆である“動”の恐怖を演出していました。
どちらも「何で怖がらせるか」という目的を明確にし、真っ直ぐ突き詰めたことで、あれだけの恐怖を生み出していたのかと思います。
加えて、リングは「ビデオ見たら殺すor呪いの拡散」、呪怨は「家入ったら殺す」といった怪異の方向性がきっちりしているのも大きい。
しかし昨今のホラーはバランス重視。
静と動の両立をしようと頑張っているように見えます。
それで面白ければ良かったのですが、逆にどちらも中途半端な出来の代物ばかり。
なおかつ、“登場人物”ではなく“俳優”中心のストーリー展開になっており、俳優に気を使った内容のものが多く感じます。
そのせいで安直な展開や結末に成り下がってしまい、印象に残らないという残念な結果に……。
ううむ。
もっと振り切った感じのホラーが見たいですね。
あと驚きも欲しいところ。
面白いホラーが出てきてほしいもんです。
それでは今日はこのへんで。
おしまい。