令和6年正月歌舞伎座昼の部 狐狸狐狸ばなし | 癸の歌舞伎ブログ

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令和6年正月歌舞伎座昼の部 狐狸狐狸ばなし

 

狐狸狐狸ばなし コリコリバナシ

 

北條秀司原作で昭和三十六年二月東京宝塚劇場で初演。

初演時配役は

森繁久彌(手拭屋伊之助)、山田五十鈴(おきわ)、十七世中村勘三郎(法印重善)、三木のり平(又市)ら。

原作では場所は大坂梅田になっている。同年十一月に大阪新歌舞伎座で歌舞伎初演されているが、このときも場所は大坂である。その後再演はだいぶ経った平成八年八月東京歌舞伎座、その当時勘九郎の十八世中村勘三郎に奈河彰輔が「江戸みやげ」と銘打って書いた脚本によっており、場所は江戸浅草付近に変えられている。それ以降はずっとこの脚本で上演されており、今回も奈河脚本である。

 

今回配役は

松本幸四郎(手拭屋伊之助)、尾上右近(おきわ)、中村錦之助(法印重善)、市川染五郎(又市)、市川青虎(おそめ)ら。

 

幕切れ近く、伊之助内で又市が劇作者の正体を現し、大坂へ帰る話になって「豊島屋の旦那が大坂にいて」と言っているが、これは原作にないセリフである。歌舞伎初演で又市を演じたのが最後の豊島屋である嵐璃珏だったので、奈河彰輔の豊島屋へのオマージュだった可能性がある。