癸の歌舞伎ブログ

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歌舞伎のお勉強と実況をするブログです。

 

伊勢音頭恋寝刃 イセオンドコイノネタバ

 

当ブログの過去記事より

寛政八年七月二十五日大阪角の芝居初演。国性爺の切として上演された。近松徳三作。中山文七が甘輝と福岡貢、嵐雛助が和藤内と料理人喜助、芳沢いろはが錦祥女とお紺を演じた。同年五月四日伊勢古市油屋において実際に起きた殺人事件を脚色した狂言である。実説は酒の上での間違いからの殺人であるが、本作では悪者に盗まれた主家の家宝名刀青江下坂を詮議の過程でひょんなことから仲居を切りそこから大量殺人に発展してしまう。殺人を見せるのが目的の芝居であるから、なんにせよ人は切らねばならぬ。青江下坂は越前の葵下坂と備中青江物とを、間違ってかわざとか、ごっちゃにした架空の刀である。最近では油屋と奥庭のみの上演が多いが通しだと相の山、妙見町宿屋、地蔵前追い駆け、二見が浦、太々講がつき伊勢の名物が網羅される。江戸時代の人にとって伊勢詣りはあこがれのイベントであるからそういうところもこの狂言の人気の理由である。本作は文楽でもやるが歌舞伎からの移入で、はるかに下って天保九年初演である。

 

今回は相の山、宿屋、太々講を含めた通し上演である。

 

今回配役は

松本幸四郎(福岡貢)、尾上菊之助(今田万次郎)、片岡愛之助(料理人喜助)、坂東彦三郎(正直正太夫)、坂東彌十郎(お鹿)、中村雀右衛門(お紺)、中村魁春(万野)ら。

 

相の山

伊勢音頭で幕開く。お杉とお玉が間の山節を賑やかに披露している。向こうより今田万次郎一行。ニセ侍とニセ御師に騙されてニセ折り紙と本当の折り紙をすり替えられる。舞台回って

 

宿屋

藤浪左膳が青江下坂の詮議をめぐって今田万次郎に福岡貢を引き合わす。奴林平が今田万次郎を籠絡している杉山大蔵と桑原丈四郎が密書を持っているのを見咎め追っかけが始まる。藤浪が詮議の行方を心配してきめて、エキロ、幕となる。返し幕で

 

追っかけ、地蔵前、二見ヶ浦

いつものドタバタである。今回は三人客席に降りた。

 

太々講

貢がお紺を鳥羽のおばと紹介したところ、本当のおばが訪ねてきたのでちょっと困るが、おばが機転を利かせてくれて助かる。しかも青江下坂をくれる。猿田彦太夫の悪巧みで百両紛失の咎を着せられそうになるが、それもおばの機転で余裕で回避し、しかも青江下坂の代金の百両もせしめる。

 

油屋

花に遊ばばの替え歌で伊勢に遊ばばで幕開く。平舞台で階段なし。貢の憤怒の見得はいつもどおり。

 

奥庭

伊勢音頭は上段八人、下段十人。「あっ晴れ名刀」「下坂の切れ味」「お見事」はなし。

外宮へ下る坂の途中でお杉とお玉はやっていたらしい。かなり傾斜している。

 

 

今はこれしか残ってない