令和5年12月歌舞伎座第2部 爪王 | 癸の歌舞伎ブログ

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令和512月歌舞伎座第2部 爪王

 

爪王 ツメオウ

 

戸川幸夫原作、平岩弓枝脚本、藤間勘十郎振付、昭和四十三年五月東京歌舞伎座で行われた波野久里子の猿若明石襲名披露において初演。

初演時配役は

猿若明石(鷹)、三世市川猿之助(鷹匠)、初世中村錦之助(村長)、真帆志ぶき(狐)

戸川幸夫の動物小説の舞踊化である。原作は高度成長時代の秋田に近い山形県北部の山村で最後の一人となった老鷹匠が鷹匠人生の集大成として惚れ込んだ若鷹の捕獲から始まり、教育、成長、近隣での名声の高まりを受けて赤狐退治を依頼され敗北のあと、三年の再訓練を経ての雪辱までを描く。

 

今回配役は

中村七之助(鷹)、中村勘九郎(狐)、坂東彦三郎(鷹匠)、中村橋之助(庄屋)ら。

 

緞帳、所作舞台。暗転で幕開く。上手に長唄、背景は雪景色、その前に鷹匠の住まいを描いた板を置く。板付きで鷹と鷹匠。向こうより安楽城村の庄屋(自分では村長と言っている)が来て、村人を悩ます赤狐退治を依頼。三人でせり下がり。

背景板吊り上げて雪景色となり、七三より鷹・鷹匠せり上がり。本舞台に狐出て戦いとなり鷹敗れ、鷹は背景と舞台の間に落ちる。鷹匠嘆き途方に暮れ暗転。

鷹匠内となり、鷹匠引き続き悲嘆に暮れている。向こうより鷹傷ついて帰ってくる。

春になり鷹は回復。鷹匠やっぱり狐退治を命じる。

冬景色、小高い地形を模した二重。鷹は本舞台から、狐は七三よりせり上がり。鷹は引き抜いて黄金色が交じる。狐は両肌脱いで狐火が現れる。今度は鷹が勝って狐は七三からせり下がる。鷹は二重の上で羽ばたき、鷹匠は喜ぶ。幕。