平成29年12月国立劇場歌舞伎公演 今様三番三 | 癸の歌舞伎ブログ

癸の歌舞伎ブログ

歌舞伎のお勉強と実況をするブログです。

平成2912月国立劇場歌舞伎公演 今様三番三


今様三番三 イマヨウサンバソウ
宝暦五年十一月江戸市村座の顔見世狂言「樸(そく)峠吉例相撲(カシワガトウゲキチレイスモウ)」の中で初演されたと言われるが、この狂言は曽我兄弟の親の河津三郎が工藤に殺される話でどうも平忠度の娘が出る幕がなさそうである。長く廃絶していて昭和三十六年十一月東京歌舞伎座の「顔見世曾我礎カオミセソガノイシヅエ」の大切として復活されたものだからその際そのストーリーに合わせたものと考えられる。この狂言は時代が下って曽我兄弟が工藤を討つ話である。その後はこの時代狂言としての再演はなく今様三番三、あるいは晒三番叟として再演された。
今回配役は
中村雀右衛門(曽我の二宮実は平忠度娘如月姫)、中村歌昇(佐々木小太郎行氏)、中村種之助(結城三郎貞光)ら。
幕開くと浅葱幕。大薩摩が出て唄った後、幕振り落とすと箱根権現、長唄。如月姫と佐々木、結城せり上がり。如月姫は公家風の烏帽子ではなく三番叟の烏帽子、素襖を羽織る。その下は向かい雀の紋入り着付。帯にも向かい雀が入っており、その他源氏香の初音、御法、椎本がちらしてある。桶に入れた源氏の白旗を持つ。100%怪しいのにシラを切って三番叟の舞を強行するが、結局バレて立ち回りとなる。白旗を二本持ってサラシのように振り始めると音楽もサラシとなる。最後は如月姫が台に乗って富士山に見立てた引っ張りの見得となって幕。