伏見信子様 百七歳御誕生日 | 俺の命はウルトラ・アイ

伏見信子様 百七歳御誕生日

 伏見信子

 (ふしみ・のぶこ)

信子

 大正四年(1915年)十月十日東京府生まれ。

 本名  伏見延子

 別名義 伏見延江

 父は新派俳優伏見三郎。姉は伏見直江。

 

 小山内薫は直江・信子姉妹を伊藤大輔に

推薦します。

 姉直江は昭和二年(1927年)十二月二十

七日公開『忠次旅日記 御用篇』においてお

品役で重厚な演技を見せ満年齢十九歳におい

て深い存在感を顕示します。

 (こちらの画像はインターネットより拝借

  引用しています)

 

 美少女名優であったことが窺えます。

 

 (こちらの画像はインターネットより拝借

  引用しています)

 

 

 伊藤大輔監督『御誂次郎吉格子』(『御誂

治郎吉格子』 おあつらえじろきちごうし)

に直江・信子姉妹が出演しました。

 

 『御誂次郎吉格子』

 『御誂治郎吉格子』 表記タイトルあり

 映画 無声 現存版90分 白黒

 昭和六年(1931年)十二月三十一日封切

 製作国 日本 

 字幕言語 日本語

 製作会社 日活太秦

 

 原作 吉川英治『治郎吉格子』

 脚色 伊藤大輔

 撮影 唐沢弘光

 

 出演

 大河内傳次郎(治郎吉)

 

 高勢實乗(仁吉)

 山口佐喜雄(やっちょろ松)

 山本禮三郎(与力重松)

 

 伏見信子(お喜乃)

 伏見直江(お仙)

 

 監督 伊藤大輔

 

 ☆

 平成二年(1990年)七月一日

 平成二十四年(2012年)十月二日

 平成二十八年(2016年)二月三日

 平成二十八年(2016年)二月六日

 令和三年(2021年)十二月七日

 京都文化博物館にて鑑賞

 ☆

 

 義賊鼠小僧治郎吉は大金持ちの豪商や武家

から金を盗み庶民大衆から喝采を浴びていま

したが、役人の取締の厳格さを感じ、江戸から

上方に逃げます。

 

 三十石舟に乗った治郎吉は捕手の追跡を受け

ますが撃退します。

 猿回しの猿がじっと見つめます。美しい遊女お

仙が眠っている間に坊主が彼女の財布を盗もう

としますが、治郎吉が制します。

 治郎吉とお仙は惹かれ合って恋仲になります。

自身と一緒に居ればお仙に塁が及ぶことと、持ち

前の飽きっぽい性格も影響し、治郎吉は別れ話を

提案します。お仙は嘆きます。

 

 彼女の兄の仁吉は妹を喰い物にして稼ぐ床屋

の十手持ちで、治郎吉は交渉に行きます。

 床屋に少女お喜乃が現れました。その清純無垢

な美貌を見た治郎吉は感嘆し一目惚れします。

 

 お仙の話を仁吉にすることを治郎吉は一旦控え、

お喜乃への想いで胸がいっぱいになります。お喜

乃はなんば・天王寺の長屋で療養している父を助

ける為に芸子に身を売ろうとしていました。

 仁吉はお喜乃を狙う与力重松に忖度し彼女を差

し出そうと狙っています。

 

 治郎吉は長屋のお婆さんにお喜乃の事を尋ねま

す。お婆さんはお喜乃は孝行娘であることを告げ、

彼女の父は脇坂家の侍でありましたが、公金盗難

事件の咎で罰せられ失職し浪人していることを教わ

ります。公金を盗んだ盗賊は鼠小僧だということで

すよとお婆さんに告げられ、治郎吉は衝撃を受けま

す。

 

 伊藤大輔は大河内傳次郎の後ろ姿を見せます。

治郎吉の罪の苦悩を背中で示すのです。

 お喜乃の父が失職してしまった原因の公金盗難

事件の下手人が自身であることに治郎吉は苦悩し

罪滅ぼしに、お喜乃の力になりたいと希望します。

 

 大人の美女で豊かな色気と深い母性愛を示す

お仙。

 

 清らかで優しい少女のお喜乃。

 

 伏見姉妹の名演に心を打たれます。現存版フィ

ルムでは、お仙・お喜乃が一度も顔を合わさない

事も印象的です。

 

御誂次郎吉格子 一九三一年 大河内傳次郎主演 伊藤大輔監督作品(一)

 

御誂次郎吉格子(二) 三十石舟で出会ったふたり

 

御誂次郎吉格子(三) 三十石舟の殺陣

 

御誂次郎吉格子(四)  月夜の二人

 

御誂次郎吉格子(五) 三角関係の始まり

 

御誂次郎吉格子(六) 長屋で聞いたこと

 

御誂次郎吉格子(七) 治郎吉とお喜乃とお仙

 

御誂次郎吉格子(八) お喜乃の哀しみ

 

御誂次郎吉格子(九) 月夜のふたり 伊藤大輔監督生誕百十五年

 

御誂次郎吉格子(十) 逞しき女性お仙

 

御誂次郎吉格子(十一)  屋根の治郎吉

 

御誂次郎吉格子 御誂治郎吉格子 (十二)

 

御誂次郎吉格子 御誂治郎吉格子 (十三)

 

 平成二十五年(2013年)十月一日から

令和三年(2021年)十二月三十一日に『御

誂次郎吉格子』感想文を全十三回で書きま

した。

 

 

 ブログにおける画像・台詞の引用は全て

学習・研究の為です。当記事は「無声・サ

イレント作品」のテーマで投稿しています。

 

 伊藤大輔監督無声映画で完全版に近い形

で現存している唯一の作品です。

 

 愛の優しさと暖かさを教えてくれる大傑作です。

 

 吉川英治の小説『治郎吉格子』は鋭い短篇

小説です。

 伊藤大輔は無償の愛の物語として『御誂治郎

吉格子』を描きます。

 原作小説と映画は全く違います。強烈な改変

です。原作と映像化作品とどっちが優れている

かの比較ではなくて、英治さんが冷静な筆致で

治郎吉のドラマを書き、大輔は愛の無限の深さ

を映画で明かした事を確かめたい。

 

 小説『治郎吉格子』から映画『御誂次郎吉格

子』への歩みに大きなドラマがある訳です。

 

 長谷川伸が「伊藤大輔の演出にかかると、文

学作品は伊藤大輔のものになってしまう」と評

したそうですが、まさに至言です。

 

 冒頭の地図で治郎吉の逃走経路を示す手法

は、大輔演出の鮮やかさが光ります。後のトー

キー作品にも用いられる技法であります。

 

 「大河内君」「直ちゃん」と大輔先生は呼ば

れます。

 

 傳次郎さんと直江さんは実際に恋愛関係に

あったと言われていますが、わかるような気

がします。

 

 フィルムを見ているとお二人の息がぴった

りなのです。

 

 満年齢十六歳の信子様の美しさに身も心も感動

しました。

 

 現在の日本芸能界で最年長の方は信子様なの

かな?

 

 本作はサイレントなので、信子様のお声は聞け

ません。

 信子様と松平晃氏のデユエット曲『花言葉の唄』

を動画で拝聴し、信子様の澄み切った声に心を強く

打たれました。

 

 十月二十二日から十一月四日にシネ・ヌーヴォ

において「日本映画の青春期 時代劇が前衛だっ

た 牧野省三、衣笠貞之助、伊藤大輔、伊丹万作」

特集が開催され、『御誂次郎吉格子』(『御誂治

郎吉格子』)は二十二日十二時四十分・二十四日

十六時三十分・二十六日十時二十分・二十七日十

六時三十五分に上映されます。

 

 わたくし可能な限り参加したいと望んでおり

ます。

 伏見直江(ふしみ・なおえ)様

 本名 伏見直枝

 別名義 藤間照子

     霧島直子

 明治四十一年(1908年)十一月十日生まれ。

 昭和五十七年(1972年)五月十六日死去。

 七十三歳。

 

 本年は大女優伏見直江様没後四十年の年です。

 

 十一月十日は生誕百十四年記念日です。

(こちらの画像はインターネットより拝借引用

 しています)

 

 お仙 伏見直江

 

 歴史的な当たり役です。

 ハロー!プロジェクト

OCHA NORMAメンバー

田代すみれさん

 2005年6月16日神奈川県生まれ。

 美貌の古風な魅力に伏見直江先生の映像

を想起します。

 

 昭和四十五年(1970年)十月十日。

 『朝日新聞』が「被爆者の怪獣マンガ」記事

を掲載し、この記事が契機となり後にウルトラ

セブン』「遊星より愛をこめて」封印事件を引

き起こします。

被爆者の怪獣マンガ

 伏見信子様五十五歳誕生日に起こった

記事掲載でした。

 わたくしめは三歳で『ウルトラセブン』

再放送に夢中になっていました。

中島 佐々木

 

 2005年小学館雑誌における「被爆者の怪獣

マンガ」記載を糾弾した平和運動家中島竜美氏

と『遊星より愛をこめて』脚本家佐々木守氏が

『FLASH』890号(光文社)で対談され、中島

氏は番組をしっかり見ずに抗議したことは問題

だったと認め、封印解除・公開を希望してくれ

ました。 

 因みに『FLASH』890号のグラビアには石川

梨華氏と田代すみれ氏が尊敬する道重さゆみ氏

が出演しています。

 令和四年(2022年)十月一日。

 『ウルトラセブン 55周年記念 4K特別上映』

 トークイベント

 

 森次晃嗣さんはモロボシ・ダンを演じた1967・

1968年は撮影休みの日はイベントが入り不休の

年だったそうです。

 

 現代でも酒場に行けば「ダンだ!」と呼ばれ

「写真を撮らせて下さい」と頼まれる。

 

 ファンらしき人を見たら逃げる。

 

 人気スタア・ヒーローはプライベートがなく

なり、ヒーロー印象で語られる。

 

 大変だなあと思いました。

 

 五十五年の時を経て今もファンに愛される番

組が映画館で公開されています。

 

 

 『ウルトラセブン 55周年 4K特別上映』

未見の方は是非御覧下さい。

 

 三日後の十月十三日は伊藤大輔監督生誕百二十

四年の日です。過去記事に書きましたように伊藤

大輔の生年月日は明治三十一年(1898年)十月十

三日です。

 

 

 『御誂次郎吉格子』は暖かくて優しくて美し

い映画です。

 

 大河内傳次郎は凄み豊かで、所謂「イカツイ」

叔父様ですが、治郎吉役で二枚目無頼漢の色気

をたっぷりと見せてくれます。色気があるんです。

 

 直江様のお仙は海よりも深い愛を示します。

 

 伊藤大輔は伏見信子のお喜乃の名演を「本当

に良かった」と絶賛しています。

 

 伏見信子様

 

 百七歳お誕生日

 

 おめでとうございます

 

 

                    合掌

 

           

                南無阿弥陀仏

 

 

                     セブン                   

伝 ノブ