事は密をもって成り、語は泄るるをもって敗る『韓非子』
計画は、秘密にはこぶからこそ成功するのであって、たとえ少しでも外に洩れれば失敗する。これは、だれもがわきまえていること、当事者はとかく神経質になりやすい。ことに、君主に進言する場合にはくれぐれも注意が必要だ、と韓非子は説く。漏らすつもりは毛頭ないのに、ほかのことを話していて、まったくの偶然で相手の秘密計画に触れてしまうことがある。知っているな、と疑われただけで、進言者の身は危うい、というのである。
韓非はこのことばを、進言者の立場の微妙なことをいうためのマクラとしたのだが、事を秘密にはこぶのは、たしかにむずかしい。(丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)