また呉下の阿蒙にあらず『三国志』
阿蒙とは、蒙ちゃんといったところ、呉の将軍呂蒙のことである。かれは、武勇だけが取り柄の男だったが、中年になって学問をはじめ、倦まずたゆまずつづけて、やがて智勇兼備の人物に変貌した。その変貌ぶりに思わず歓声をあげたのが先輩の将軍魯粛、「君はもはや、呉の蒙ちゃん扱いは、できんわい」というのである。
単に「呉下の阿蒙」といえば、昔のままで進歩のない人間をさすのだが、われわれもあらずと力強い否定のことばを吐くようでありたいものである。怠けていると、たちまち追い抜かれる。(丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)