君子の責修する所となるも、君子の包容する所となることなかれ『菜根譚』
「むしろ小人の忌毀(きき)する所となるも、小人の媚悦する所となることなかれ」と、前段がある。つまらぬ人間からは嫌われて結構、かれらに喜ばれるようでは困りもの。立派な人物からは厳しく責められたい、寛大に扱われるようでは見はなされたということで、これでは人間おしまいである。
指導者が、厳しくいうのは、それだけ、相手に対する期待が大きい証拠であり、身分にだけつらく当たるなどと勘違いしてはいけない。なにもいわれなくなったら、安全にサジを投げられたということ、それにも気づかない人間では救いようがない。(丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)