石に嗽(くちすす)ぎ、流れに枕す(晋書) | 日日是好日のブログ

日日是好日のブログ

団塊世代、毎日が日曜日となり晴耕雨読の生活に入ったのを機に、学びは生涯現役でありたいと始めたもので、生活の一部を切り取っていきたい。

 石に嗽(くちすす)ぎ、流れに枕す(晋書)

 名利を捨てた隠遁生活を形容したことば。「石に枕し流れに嗽ぐ」と、本来はいうべきところなのだが、西晋時代の孫楚(そんそ)という人物がいいまちがえたのである。「石で口がすすげるのかね。流れを枕にできるのかね」と、からかわれて孫楚はいい返した。「石で口をすすぐのは歯をみがくため、流れに枕するのは耳を洗うためさ」昔、隠遁者の許由が聖王堯から位を譲るといわれて、耳がけがれたといって流れで耳を洗ったという、その故事をふまえた負け惜しみである。
 明治の文豪夏目漱石(本名は金之助)のペンネームはこれに由来している。(丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)