”クローズアップレンズ・レデューサーバックフォーカス調整” その2 | 星空の歳時記

星空の歳時記

ゆるく・緩くをモットーに、日々移ろう星空などを私流に楽しみたいと思います。

Borg45EDⅡにレデューサー・フラットナーの効果を得る目的で使用する「クローズアップレンズ・レデューサー」の性能について、初回の結論はNo.3が最もバランスがよく、No.4が次点という結果でした。

 

周辺像まで良好な補正効果が得られるような虫のいいことにはなりませんでしたが、大きく拡大しない限り自分としては許容範囲と感じました。

 

そして前回は補正性能を高める目的で両者のバックフォーカスを59.8㎜から74.8㎜に伸ばしたテストを実施しました。

しかしその結果は、初回より悪化の傾向を示すものでした。

 

これらの結果を踏まえて、今回は初回よりもバックフォーカスを短縮するテストを実施しました。

 

フィルター枠からクローズアップレンズ(No.3、No.4)を取り外し、ケンコー製のTマウントアダプターに組込んでの実験です。

ちなみに手持ちのACクローズアップレンズとマウントアダプターを使用したので、新たな出費は0円でした。

 

実験用にクローズアップレンズを組込んだT‐マウントアダプター

 

Tマウントアダプターに組込んだクローズアップレンズまでの光路長は約‐5㎜ですので、カメラ(Canon-EOS Xi5)のフランジバックと合わせての光路長は約40mmとなります。

※光路長約‐5㎜は、クローズアップレンズの位置が、カメラのフランジより奥に入るから。

※No3.の合成焦点距離は、290mm(F6.4):0.89倍のレデューサーとして機能。

※No4.の合成焦点距離は、278mm(F6.2):0.86倍のレデューサーとして機能。

 

52mmACクローズアップレンズNo3.をBorg製のカメラアダプターに装着

 

 

No.3クローズアップレンズをTマウントアダプターに装着して撮影した球状星団M3(バックフォーカス40㎜)

 

No.4クローズアップレンズをTマウントアダプターに装着して撮影した球状星団M3(バックフォーカス40㎜)

 

 

No.3右下拡大・バックフォーカス40㎜

 

No.4右下拡大・バックフォーカス40㎜

 

参考に中央拡大画像も示します。

 

<参考>No.3 中央拡大・バックフォーカス40㎜

 

 

強拡大ではありますが、中央に比較して右下隅の星像は肥大していて各収差の補正も不十分であることがわかります。

効果としては、初回のテスト結果と比較してレデューサーとしての縮小率は若干下がりますが、星像はほぼ同等でどちらを選択しても大きな違いはないと感じました。

 

純正の補正レンズがお高い現状からすれば、安価で簡易な補正レンズとして愉快でもあり、当面の利用価値は十分あると評価できるかと思います。

 

レデューサーとしてより明るいのはNo.4なのですが、星像は今回もNo3.が多少上回るように見えました。

 

クローズアップレンズの位置としては、星像的には差は少ないようにみえましたが、今回のテストで実施したセンサーにより近いTアダプター改造品が周辺減光を抑える意味では有効だと思われます。

 

 

<参考>No.3右下拡大・バックフォーカス59.8㎜(初回テスト再掲)

 

結果

これまでの3回のテストから、以下の選択・設定で一定の効果が得られることがわかりました。

 

・Borg45EDⅡに適合するクローズアップレンズレデューサーとしては、No3.かNo.4 を使用する。

・クローズアップレンズの位置は、Tアダプターに内蔵するか、Borg純正のカメラアダプターに52mm径のクローズアップレンズを装着する。

 

簡単には、52mmのACクローズアップレンズNo3.をカメラアダプターに装着するのがよいと思われます。

他方、自家製のフラットナー・レデューサーとしてTアダプターにクローズアップレンズを内蔵したものを作成しておけば、安価で汎用性も高い部品を手に入れたことになり、今後他の望遠鏡にもテスト使用することが可能になります。

 

お気軽安価に趣味を楽しむには、今回のテストで得られた結果を活用することで十分だと思えますが、手っ取り早くより完璧な補正効果を得たいのであれば、やはり費用が掛かっても純正の製品を購入するのが正解だと思われました。

 

より完璧を求めたいのであれば、最初から高性能な製品を購入する方が、結局は余計な出費も防げるでしょう。

(と言っても、タカハシには手が出ませんので、その手前で紆余曲折を楽しみます)

 

これらはトレードオフの関係ではありますが、趣味として楽しいのは、改善や成長・達成感などを感じることが大きな要素でもあるので、経済的な制限もあるなかでの紆余曲折もおおいに楽しみたいと思います。

 

自分の場合には、天体趣味を中断した1970年代後半のレベルからの再スタートですので、このレベルが得られるだけでも十分楽しく、プロセスの楽しさだけでなく達成感も得られるところです。

 

テスト時に球状星団M3以外にも試写した画像もありますので、今後時間が許す時に順次掲載できればと思います。