20回目  三相回路 ΔーY

今回は三相平衡回路の 電源がΔ 負荷がYの回路の解法をします。
前回までがある程度理解ができていれば、これは楽勝でしょう ?
ーーーでは問題ですーーー 
線間電圧200vの三相平衡Δ電源に負荷Z=20+J11.5(Ω)を
Y接続として、電源に接続した。
各電圧、回路電流、電力(皮相、有効、無効)を求めベクトルを描け。
ーーーーーーーーーー
上記が問題です。三相平衡Δ電源ですので、各線間電圧及び位相は
120度ずつ づれています。また負荷Zは同じ値でY接続です
ので、1図の黒線で表示したものとなります。
電源と負荷がΔとYですので、YーY接続に変換します(私見ですが
三相回路の基本はY-Yと考えます。:解法としてはYーY接続が一
番楽と考えます)

老いぼれ親父の電気工学

電源ΔをYに変換すると 青で描いた回路になります。線間電圧
は200Vですので相電圧(Y電源)は√3分の1となり、値は
115vとなります。このY電源の相電圧をそれぞれEa Eb Ec
とします。点o(電源の中心)の電位を0v(基準)とすると点a b c
の方が高い(115v高い)ので矢印は点abcの方向となります
(青の矢印で表示)
相順をabcとすると、線間電圧Vab Vbc Vca の矢印は赤で
表示したとうりになります。線電流は電源の電位の高い所から
飛び出す(流れて行く)と考え矢印は緑の方向となります。
各矢印の方向を「正」の方向とします。
**ーここらあたりまでが能書きになりましょうー**
毎回(何回も)、この能書きが記述していますが、微妙に
言葉の言い回しが異なると感じていると思います。しかし言わんと
する所は同じと理解してもらえるのではないでしょう
か??ーー 続けます。
ーーーでは解答に進みますーーー Y-Y回路は以前2回程
解説をしていますので簡単と思いますが、最後までお付き
合い下さい。
2図が題意からのインピーダンスZのベクトルです。 負荷 
Z=20+J11.5=23Ω で Zの値は23Ωになり
ます(三平方の定理より)また力率は87%:遅れ、力率
角30度になります。
Yの相電圧Eaを基準(一相分の閉回路 a a' o' o で)に
すると3図のベクトルになります。2図、3図共それぞれ
の角度は30度になっています。又Iaの値は5Aです。
4図がそれぞれの相電圧、線間電圧、になります。
5図が電力のベクトルです。
ーーー解答ですーーー
相電圧(Yの相電圧) Ea Eb Ec  115V 
 (この Ea Eb Ec は便宜上仮想的に考えた電源です、
   従って題意には含まれていません)
線間電圧 Vab Vbc Vca   200V
 (Δ電源の相電圧に同じになります):「相電圧とは
  Y電源でもΔ電源でも電源コイル部分の電圧を言います」
回路電流 Ia Ib Ic  5A
皮相電力
   √3*5*200=1732VA
又は 3(三相分の3倍)*5*115=1732VA
有効電力 
  √3*5*200*87%=1507W
無効電力
  √3*5*200*sin 30度=(866)854Var

おことわり:各値は端数の処理の関係でビッタシではありません。

* 電力(皮相 有効 無効)は別な解答法も多々ありますので
ご自分の一番なじむ方法での解答法をみいだして下さい。
(その他の電気の問題を解く事についても同じですが・・・)
ーーー
電圧、電流のベクトルは 4図
 Vab Vbc Vcaはそれぞれの線電流Ia Ib Icとの位相差は
60度になります(30度ではありません)

5図は電力のベクトルです。

ーーーーー
次は ΔーΔ回路の予定です。ΔーΔ回路が終われば
三相回路の殆んどの問題に解答できるものと考えます。
あと一息ですので・・

次に つづき ます



























19回目 三相Y-Δ回路
13回目から三相回路を検証していいますが・・・

三相Y-Y回路で3相平衡電源回路、相電圧、線間電圧、相順、
電位、電圧の向き、電流の向きなど について説明しました
が、三相YーΔ回路も合わせて理解する必要があります。
もしこの項の理解ができないようでしたら、13回目に戻って
検証をしてみて下さい。
では ーーー 三相Y-Δ回路 ーーの検証に取り掛かります。
-----例題ですーーー
相電圧115vの三相平衡電源に 負荷 インピーダンス
Z=5.75+J10(Ω)をΔに結線として電源に接続をした。
力率(含む力率角)及び相電圧、線間電圧、Δ電流、線電流
等の値とベクトル 及び三相電力の値とベクトルを示せ。
ーーー以上が問題ですーーー

老いぼれ親父の電気工学

題意から、1図の回路が描けます。相電圧Ea,Eb,Ec
とするとそれぞれ点Oより点a,b,cの方が電位が高いので
矢印は点a,b,cに向かいます。相順をa,b,cとすれば
線間電圧Vab、 Vbc、 Vcaの矢印(赤で表示)は表示
とうりです。又線電流Ia、Ib、Icは電源側から負荷側に
向かう矢印となります(又は電源の電位の高い点a、b、cから
出て行くと考える)。ZのΔ電流I1、I2、I3は相順
a,b,c(a’,b’,c’)ですので、矢印(電流は電位の
高い方から低い方に流れる)の方向をピンクの方向に
決めます。それぞれの矢印の方向を「正」の方向と
決めます。
負荷Zは2図のベクトルになり、題意からR=5.75Ω、
XL=10Ωの直列負荷と認識でき Zの値は11.5Ωと
なります。ZとRの関係から R/Zで 力率0.5
(50% おくれ:+J10(リアクタンス10Ωですので 
おくれになります)で力率角60度となります。
ここらまでが、、問題を解く前提の能書きになりますか?ー
ーーーーでは・・
3図で、、 3相平衡電源ですので、相電圧Ea、Eb、Ecは
Eaを基準にすれば各相電圧は120度ずつ位相がずれて
なお値が同じですので黒で表示、又線間電圧は相電圧より
30度進み なお√3倍の値になり 赤で表示となります。
(線間電圧Vab=Ea-Eb、Vbc=Eb-Ec、Vca=Ec-Eaに
なります: 線間電圧の説明は 「16回目」 に記述して
ありますので再度確認下さい )

つぎは Δ電流です(先にΔの一相のZの値11.5Ωが求まって
いますので:一般的に負荷側から検証します)そこから
I1を求めます。負荷Z(a' b'間)は電圧Vabが掛かってい
ますので、
Vab=I1*Z から求めます。Vab=200v、Z=11.5Ω
ですので I1=17.4Aとなります。そのベクトルが4図
になります。Vabを基準に描いてありますが、Vabから
I1は60度おくれている事を読み取ります(ここが間違
いやすい)このI1角度 60度(Vabから60度おくれる)
を3図のベクトルで描きます。
あくまでもI1はVabから60度おくれる描画となります。
(Eaから60度おくれる訳ではありません)
I2、I3も同じように考えて描きます。3図を再度検証して
みて下さい。

次は5図です(回路の電流を3図から抜き出したベクトルです)
線電流Ia Ib IcはΔ電流から求めます。
点a'で  Ia+I3=I1(流入する電流と流出する電流は等しい)
 移項して  Ia=I1-I3   同じく点
点b’で Ib+I1=I2 移項して  Ib=I2-I1 
点c’で Ic+I2=I3 移項して  Ic=I3-I2  になります。
 
 上記によりベクトルを描画すると 線電流がもとまります。
値はΔ電流の√3倍になります。

6図が電力のベクトルになります。皮相電力、有効電力、
無効電力の関係は電力のベクトルとうりです。皮相電力
は電圧と電流の積、有効電力は皮相電力に力率を乗じた
値です。一相分の電力を3倍すると三相電力にもなります。
(※皮相電力の記号はなんでしたか??忘れました)
ーーーーー解答ですーーーーーーー
力率(含む力率角)力率0.5(50% おくれ):60度
相電圧 115v(題意から)
線間電圧 200v
Δ電流   17.4A
線電流   30A
三相電力の値
1)皮相電力) 10390VA
   =√3*30A*200v=10390VA
 又は=3(三相分)*17.4A*200v=10390VA
 (端数の処理の為誤差あり)

2)有効電力) 5196W
   =√3*30A*200V*0.5=5196W
 又は=3(三相分)*17.4A*200v*0.5=5196W
 (端数の処理の為誤差あり)

3)無効電力 8997var(無効電力の解法は6図の関係から
  求める外まだ方法がありますので、研究してみて下さい)
   
---------
3相平衡回路ですので、線電流、Δ電流、相電圧、
線間電圧の各ベクトル和は0となるはずですので、確認をお勧
めします。
 「複素数の直交座標表示をすると確認できます」

ここまでは是非一度検証をしてみて下さい。
「不平衡の三相回路ですと各ベクトル和は0にならない
所も出てきますので、、是非・・・」
 「複素数の直交座標表示をすると確認できます」

また ・・つづく
18回目 単相3Wの電流の向きについて・・
ーーー例題ですーー
1図、の単相3W(100/200v)回路において5Ωと
20Ωの抵抗を接続した(1図のとうり)。各線電流を求めよ。  
  これが問題です。
ーー
この項では 「電圧と電流の向きについて」の考え方を基
に説明します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
この回路は変圧器の2次側の回路で、単相3W
(100/200v)回路と認識できます。
一般的には、中性線(真ん中の線)はB種接地として対地と
接続しますが、この回路では
中性線(真ん中の線)は接地されないので非接地の回路
になっています。あれこれ電流の向きなど考えなくても
解答が可能ですが、もう少し高度な問題には下記の
ような考察が必要ですので、あえて お付き合い下さい。
ーーーー



老いぼれ親父の電気工学



では、、順に解答をしていきます・・・
題意で1図が与えられていますので、2図で・・
電位の基準を点b(0v)を決めます。点nが電位100v、
点aが電位200vになります。従って電源の
向きを2図のごとく決定できます。2図ですヨ・・
 Vanは電位、点a(200v)から電位、点b(100v)を差し
引くと100vでなおかつ点aが高いので
Van(Vnaではイケマセン)となり矢印が上に向きます。
同じ考え方でVnb、Vab の矢印も上向きになります。
この矢印を正の方向とします。

一方 負荷側のピンクのVa’n’、Vn’b’、Va’b’も電源側と
同じ考え方で、矢印が上向きになりこの方向を「正」の方向
とします。
 このVa’n’、Vn’b’、Va’b’は電圧降下と言い電源の
矢印と同じ向きとなります。状況によっては端子電圧など
と言う場合もあります。

次は電流の向きですが、負荷の端子側の点a'と
点n'は点a'が高いので電流I1の向きは上の方から降り
てきます(但し点n'までです)。

続いて点n'から点b'を通過して電源に戻る電流I2も同様に
電位の高いn'から下に降りてb'、 bへとながれていきます。
 中性線の電流の向きは 電源側から流れると考えて矢印
を決めます。それぞれの矢印の向きを電流の正の方向とします。
(電流の向きは、電源の電位の高い所から、負荷側に流れて行き
ます 又電流は負荷の端子電圧の向きに逆らう方向に流れると
考える事もできます)>>>ここの言い回しはじっくり2図を
見ながら検証して下さい(暗記する必要はさらさらないんですヨ)

では 2図ですヨ・・
一応 回路の大まかな所をつかんだので、電流の値を求め
ます。
E=IR の式から I1=20A  I2=5Aになります。
 次は中性線の電流Inですが、点n'に注目して下さい。
点n'にながれ入んで来る電流はI1とInです。また 点n'
からながれ出る電流はI2です。即ち 点n'で I1+In=I2
となります。
I1+In=I2 又は 移項して I1+In-I2=0 にもなります。
ーーーー ポイントです ーーーー
I1+In=I2 を言葉で言えば 
「流入する電流の和と流出する電流の和は等しい」 
   ここは ポイントになります。
ーーーーーーーーーーーーーーー
これは、「キルヒホッフの法則」にありますが、なんの事はあ
りません。回路を見れば当然の事です。
 さてInですが、、点n' で I1+In=I2 ですので値を
代入して、、20A+In=5A   In=ー15Aとなります。
In=ー15A (マイナスの値とは ナンジャ と言うことに
なりますが・・両辺にー1を乗ずれば、、ーIn=+15A 
となり、Inの方向は表示されている反対の方向で電源側
に向かう15Aと言うことで解釈します。 
この様に解答すれば別の問題にも対応できますので、
この際に是非マスターして下さい。 
ーーーーー次は 3図です
少し異なる解答法です。2図と殆んど同じですが・・・・
電流I1は電源から a、a'、n'、n を流がれると考えます。又
電流I2は電源から n、n'、b'、b を流がれると考えます。
おのおの 青と茶の矢印で表示してあります。
 この中性線の電流は一時保留として、最後に検証します。
I1=20A、I2=5Aになります。
中性線の電流はこの I1=20AとI2=5Aがそれぞれ反対
に流れますので、差し引くと15Aになります。
方向は n'から n への矢印となります。

===自分としては後者(3図)の解答法がシックリいきま
すが、理論づけて、解答に至れば方法論はなんでも
良い訳です

この項では 「電圧と電流の向きについて」の考え方を基
に説明しましたが、単相3Wの問題、2電力計での三相の
電力を計測する問題、変圧器のV結線の問題等(後、後 
検証の予定です)では特に重要と考えますので、
是非マスターをお勧めします。

つづく