18回目 単相3Wの電流の向きについて・・
ーーー例題ですーー
1図、の単相3W(100/200v)回路において5Ωと
20Ωの抵抗を接続した(1図のとうり)。各線電流を求めよ。  
  これが問題です。
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この項では 「電圧と電流の向きについて」の考え方を基
に説明します。
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この回路は変圧器の2次側の回路で、単相3W
(100/200v)回路と認識できます。
一般的には、中性線(真ん中の線)はB種接地として対地と
接続しますが、この回路では
中性線(真ん中の線)は接地されないので非接地の回路
になっています。あれこれ電流の向きなど考えなくても
解答が可能ですが、もう少し高度な問題には下記の
ような考察が必要ですので、あえて お付き合い下さい。
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老いぼれ親父の電気工学



では、、順に解答をしていきます・・・
題意で1図が与えられていますので、2図で・・
電位の基準を点b(0v)を決めます。点nが電位100v、
点aが電位200vになります。従って電源の
向きを2図のごとく決定できます。2図ですヨ・・
 Vanは電位、点a(200v)から電位、点b(100v)を差し
引くと100vでなおかつ点aが高いので
Van(Vnaではイケマセン)となり矢印が上に向きます。
同じ考え方でVnb、Vab の矢印も上向きになります。
この矢印を正の方向とします。

一方 負荷側のピンクのVa’n’、Vn’b’、Va’b’も電源側と
同じ考え方で、矢印が上向きになりこの方向を「正」の方向
とします。
 このVa’n’、Vn’b’、Va’b’は電圧降下と言い電源の
矢印と同じ向きとなります。状況によっては端子電圧など
と言う場合もあります。

次は電流の向きですが、負荷の端子側の点a'と
点n'は点a'が高いので電流I1の向きは上の方から降り
てきます(但し点n'までです)。

続いて点n'から点b'を通過して電源に戻る電流I2も同様に
電位の高いn'から下に降りてb'、 bへとながれていきます。
 中性線の電流の向きは 電源側から流れると考えて矢印
を決めます。それぞれの矢印の向きを電流の正の方向とします。
(電流の向きは、電源の電位の高い所から、負荷側に流れて行き
ます 又電流は負荷の端子電圧の向きに逆らう方向に流れると
考える事もできます)>>>ここの言い回しはじっくり2図を
見ながら検証して下さい(暗記する必要はさらさらないんですヨ)

では 2図ですヨ・・
一応 回路の大まかな所をつかんだので、電流の値を求め
ます。
E=IR の式から I1=20A  I2=5Aになります。
 次は中性線の電流Inですが、点n'に注目して下さい。
点n'にながれ入んで来る電流はI1とInです。また 点n'
からながれ出る電流はI2です。即ち 点n'で I1+In=I2
となります。
I1+In=I2 又は 移項して I1+In-I2=0 にもなります。
ーーーー ポイントです ーーーー
I1+In=I2 を言葉で言えば 
「流入する電流の和と流出する電流の和は等しい」 
   ここは ポイントになります。
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これは、「キルヒホッフの法則」にありますが、なんの事はあ
りません。回路を見れば当然の事です。
 さてInですが、、点n' で I1+In=I2 ですので値を
代入して、、20A+In=5A   In=ー15Aとなります。
In=ー15A (マイナスの値とは ナンジャ と言うことに
なりますが・・両辺にー1を乗ずれば、、ーIn=+15A 
となり、Inの方向は表示されている反対の方向で電源側
に向かう15Aと言うことで解釈します。 
この様に解答すれば別の問題にも対応できますので、
この際に是非マスターして下さい。 
ーーーーー次は 3図です
少し異なる解答法です。2図と殆んど同じですが・・・・
電流I1は電源から a、a'、n'、n を流がれると考えます。又
電流I2は電源から n、n'、b'、b を流がれると考えます。
おのおの 青と茶の矢印で表示してあります。
 この中性線の電流は一時保留として、最後に検証します。
I1=20A、I2=5Aになります。
中性線の電流はこの I1=20AとI2=5Aがそれぞれ反対
に流れますので、差し引くと15Aになります。
方向は n'から n への矢印となります。

===自分としては後者(3図)の解答法がシックリいきま
すが、理論づけて、解答に至れば方法論はなんでも
良い訳です

この項では 「電圧と電流の向きについて」の考え方を基
に説明しましたが、単相3Wの問題、2電力計での三相の
電力を計測する問題、変圧器のV結線の問題等(後、後 
検証の予定です)では特に重要と考えますので、
是非マスターをお勧めします。

つづく