23回目 有効、無効、皮相
jandora0690さん(知恵袋)

図の構成のabc系対称三相交流電源がある。
相電圧が200Vである場合、各電圧(有効、無効、皮相)
はどのように表わされるか。という問題です。
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1図(Y負荷)のベクトルが3図 、2図(デルタ負荷)の
ベクトルが4図です。5図が負荷のベクトルです。
 全部同じの 負荷Z=17.3+J10=20Ωとします。
(R=17.3  XL=10  の直列負荷です)
  Zから 力率=R/Z=0.87 おくれ(30度)が
計算できます。この30度が位相差になります。 
(図面の各ベクトルの 「*」 が30度です>>この角度
が全てに関わってきます)

老いぼれ親父の電気工学

1図から Y-Yですので点aa'o'oの単相回路で、
Ea=200Vですので、Z=20からIa=10A(Ib Icも同様
です)。3図のベクトルを確認下さい

つぎは 2図のデルタ負荷で電源は同じです。点aa'
でVabは200√3で346Vです。Z=20ですので
I1=17.3A(I2 I3も同様です)。4図のベクトル
を確認下さい
ーーーさて 電力ですが・・
3図、4図で青で囲った所が一相分の電力です。
電圧、電流の位相差が30度です。6図の電力のベクトル
でも確認ください。ここで 有効、無効、皮相 の関係
は一目瞭然でしょう。
ーーー
* 一相分での電力です(あとで3倍で3相分になる)*
 Y負荷での電力は
皮相電力 Ea*Ia
有効電力 Ea*Ia*cos30度
(Ia*cos30度:これは 電流が電圧と同相になったらと
 考えた時のです)
無効電力 Ea*Ia*sin30度

デルタ負荷での電力も同じ考え方です。
ーーー
1図の電力は
皮相電力 200*10*3倍=6000VA
有効電力 200*10*cos30度*3倍=5196W
無効電力 200*10*sin30度*3倍=3000Var
ーーー
2図の電力は
皮相電力 346*17.3*3倍=17957VA
有効電力 346*17.3*cos30度*3倍=15552W
無効電力 346*17.3*sin30度*3倍=8989Var
ーーー
デルタ負荷はY負荷の3倍になります。(端数の処理の関係で合致
 していませんが・・)

電力は他の方法でも求める事が出来ますのでいろいろ研究を
してみて下さい

4図に線電流も描いておきました。点a' b' c' でそれ
ぞれ、流入電流=流出電流(流入電流ー流出電流=0)
で線電流を描いてあります。
 
続きます


































22回目 電気の疑問です
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ヤフーの知恵袋が「大学の入試」で話題になっていますが・・

1)三相三線式のスター結線は中点で電流0だと
  分かりますが、デルタ結線はどこで電流0にな
  るのでしょうか?
2)発電所の発電機の事ですが、三相三線式は返り
 線がありませんよね、つまり3本で足りる分け
 ですから、発電機には6本ではなく、3本の電圧
 線しかないという事でしょうか?
  また、三相三線式はお互いに打ち消し合い電流
 が0になるという事ですが、0になったら仕事
 しない事だと思うのですが…

こんな質問 が知恵袋で目にとまりました。かなり昔の事ですが
先輩にこんな質問のやりとりをした記憶があります。
ーーー
先輩、、、[三相交流3線式の線電流の矢印は負荷側
に向かって書いてありますヨ。交流だから電流は
「行ったり来たり」のはずなのに・・・・なんで??
 また 線電流の矢印は負荷側に向かっているのが
「正しい」として、負荷のYの中点の所で「ぶっつ
かってしまうけど・・」問題があると思うけど??]

先輩曰く、、[いいんだよ。三相交流3線式の線電流
は負荷のYの中点で0Aにんるんだ。だからなんら問題
はないんだ!!]

[だって 負荷のYの中点で0Aになるなんて、今の
今まで 何Aかの電流が 0Aになるなんて考えられない
ですヨ。魔法でもあるまいし、そんなのありえないですヨ]

先輩曰く、、[バカヤロー、そんな事は考えなくていいんだ、
負荷のYの中点で0Aになるんだから いいんだ!! 
俺のいうとうりでいいんだ、まだ、文句あるのか?]
・・・このような記憶があります・・・

ーこの疑問に自分なりに立ち向かってみます、、、、ー

2図に 平衡三相三線式Y-Y回路があります。

老いぼれ親父の電気工学

相電圧Ea Eb Ecは115v、負荷R=11.5Ωとすると電流Ia
 Ib  Icは10A(実効値)になります。この電流のベクトルが
1図に描いてある Ia Ib Icで◯で囲ってあるベクトルです。

(最大値14A(実効値の√2倍)で描いてありますが、これは
瞬時値であえて描いたのでこの値としました:通常ベクトルは
実効値で描くのですが・・・)

このベクトルのグラフ(sinカーブ)が右側です。ベクトルは矢印の方向
に回転します。
ーーー
今 角度0度の時(ここがグラフの始点です)の

Ia=14.1*sin 0度=0A
Ib=14.1*sin 240度=-12.1A   
Ic=14.1*sin 120度=12.1A です。
ーーー
つぎは270度 回転した所です。ベクトルは 太くて霞んで表示して
あります。 それぞれの値は 

Ia=14.1*sin(0+270)度=ー14.1A
Ib=14.1*sin(240+270)度=7A
    又は ベクトル Ibを見ながら
   Ib=14.1*sin150度=7A の方が解りやすい?
Ic=14.1*sin(120+270)度=7A
     又は ベクトル Icを見ながら
   Ic=14.1*sin30度=7A の方が解りやすい?
ーなにか気がつきませんか???(線電流の合計は0Aです)
1)角度0度の時の
Ia=0A  Ib=-12.1A  Ic=12.1A です。
 ここで2図の回路を確認します。Ibのー12.1A は回路
の矢印と反対の方向の12.1Aと理解します。ですから、この
角度0度の時は
Iaは流れない、Ibは矢印と反対の方向の12.1Aで、電源側
にながれる。またIcは電原側から流れてくる(矢印のとうり)
となります。

2)角度270度の時の
Ia=ー14.1A  Ib=7A  Ic=7A です。
ここでも2図の回路を確認します。Iaのー14.1A は回路
の矢印と反対の方向の14.1Aと理解します。ですから、この 
角度270度の時は
Iaは電源側にながれる事であり矢印と反対の14.1A、
IbとIcは電原側から流れてくる7A(矢印のとうり)となります。
他の値においても
 いろんな角度で検証をしてみて下さい。各、角度での
Ia Ib Ic(瞬時値)の合計は0Aとなります。もちろん
実効値においても合計は0Aとなります。
(Yの中点O’において「流入電流=流出電流」又は
「流入電流ー流出電流=0」になります)
ーーーーーーーーー 
ここで回答になります・・・上記を参考にして下さい
>三相三線式のデルタは中点で電流0だと分かりますが、
>三相三線式はお互いに打ち消し合い電流が0になるという事ですが、
>デルタ結線はどこで電流0になるのでしょうか?
  デルタ電流も線電流と同じです。但し平衡三相電源に平衡
デルタ負荷の時です。不平衡のデルタ負荷の時のデルタ電流にには当ては
まりません。

不平衡三相電源では確認はしていませんが・・

おまけですが
平衡三相電源に不平衡負荷を接続した時の線電流のも上記と
同じで線電流の合計は瞬時値も実効値も0Aとなります。

質問者の疑問に答えたことになりましょうか ? 

ーーーー
50HZの交流電源では、1秒間にこのベクトルが50回転
する訳です。従って一回転(360度)するのに0.02秒
掛かります。その瞬間、瞬間の電圧、電流を解析するには
ベクトルを利用して解析する事が定番となったので
しょう・・・ ??

実効値
 実効値は実際に仕事をする交流の値で「直流の場合と
同じ電力を発生する交流の値」です
ーーーーーーーーー
つぎは なににしよか・・思案中です

続きます。















21回目 三相ΔーΔ回路(2005年の問題)
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図1(黒で描いて有る所が題意として与えられている)
は三相対称回路である。 Vab Vbc Vca の
値が10Kv 、負荷Zの全消費電力200Kwの時、
線電流20A であった。
負荷ZのRとXLの値(一相分)を求めよ。
ー解答はR=500Ω、XL=500√2Ωです。ーー

ーーーーでは能書きからいきましょうー
電源と負荷が共にΔで平衡ですので、このままYへの
変換はしないで解法へといきます。
では回路を読み解いていきます。

老いぼれ親父の電気工学

相電圧(Δ)と線間電圧は等しく、相順をabcとすると、
線間電圧Vab Vbc Vca の矢印は題意の相電圧(Δ)
と同じ向きになります。
線電流は電源から負荷側に流れる(電源の電位の高い
所から飛び出す(流れて行く)と考え、矢印は負荷
の方向となります。
負荷のΔ電流も相順をabcと決めているので、電位の高い
所から流れて行くと考えて矢印はピンクの方向となります。
各矢印の方向を「正」の方向とします。
**ーここらあたりまでが能書きになりましょうー**

では・・・点a a’ b' b間(一相分)で計算してみます
全消費電力(=全有効電力)200Kwですので
一相分は3分の1です(√3分の1ではありません)
ので66667Wになります。
線電流は20Aですので負荷Zに流れる電流は
√3分の1で、11.5A(I1 I2 I3)になります。
ーーーーーーーポイントですーーーーーーーーーー
平衡電源の平衡負荷のΔ電流は線電流の
 √3分の1です(3分の1ではありません)
   ーーーーーーー
3図に電圧、電流のベクトルを描いてあります。Δ電流から
線電流を求める為のベクトルも描いてありますので、参考にして
下さい。(点a' b' c' において 流入電流=流出電流
から線電流を求める式を作成してから・・・ですヨ)
ーーー
点a a’ b' b間(一相分)の消費電力(=有効電力)
66667W 電流11.5Aから P=I^2R で
66667=11.5^2・R  からR=504Ω 
になります。又
皮相電力は P=IV ですので 点a a’ b' b間(一相分)
で計算すると、P=10000v*11.5A
=115000VAになります。
(皮相電力の記号はPではなかったと思いますが、と
りあえずこの場だけ P としました)

4図が電力のベクトルです。
皮相電力=I^2・Zですので 点a a’ b' b間(一相分)で
計算すると、115000VA=11.5^2*Z で
Z=870Ωになります。ZとRからXLが求まります。
2図のベクトルを参照・・XL=709Ω

解答は R=504Ω、XL=709Ω です。

ーーーーーポイントはーーーーーーーーーーー
1)全消費電力(全有効電力)の3分の1(√3分の1
 ではありません)が一相分の消費電力(有効電力)
 になります。
  (三相平衡Y回路及びΔ回路に共通した事です)

2)平衡電源の平衡負荷のΔ電流は線電流の
 √3分の1です(3分の1ではありません)

3)力率角(2図)は3図 4図においても同じ
 角度になります。従って 2図と4図は相似の
 直角三角形となります。ちなみに力率は58%
 おくれです。(力率=R/Z  2図より 又4図
 からでも求められます)
ーーー
三相平衡回路の Y-Y、Y-Δ 、Y-Δ 、ΔーΔの
解説は一応おわりました。おおかたの三相回路の問題
には対処できるもとの思います。この先 練習問題
について進めていきたいと考えます。ここまで理解
ができていないようでしたら、13回目に戻って再度
検証してみて下さい。

次回は一端、少し離れて 「電気の疑問について??」
考えたいと思います。

次回また・・・