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胃瘻ってご存知ですか?

「胃瘻?そんなものはしないよ!」という方もいらっしゃるかと思います。

でも、胃瘻を増設するきっかけは人それぞれなんですよね。

 


 

 

 

 

80代前半の口腔がん術後の患者さんがいらっしゃいます。

10年ほど前にがんと診断

 

手術によってうまくしゃべることができなくなっていました。

その後、口から食べる機能が衰えてきたため

 

数年前に胃瘻を増設されて、そこから栄養や水分を摂っておられます。

今は認知力の低下は見られるものの、大体の意思疎通は問題なくできる状況です。






ここ1年ほどは誤嚥性肺炎を繰り返していたため

 

流動内容を変更したり、1回の流動量を加減したり

 

注入速度をゆっくりしたりなど、あれこれ試してきました。

工夫をした後しばらくは調子良いのですが

 

しばらくすると嘔吐したり喀痰が増えて発熱したりと

 

なかなかうまくいきませんでした。






胃瘻のチューブを別のものに変更し

 

胃内でなくて十二指腸に留置したところ

 

嘔吐したり誤嚥性肺炎にはならなくなりましたが

 

十二指腸に直接注入するため腹痛や下痢に悩まされました。






八方ふさがりとなったため

 

流動で栄養を摂ることはあきらめて

 

高カロリー輸液で栄養管理する方法を試してみるということも考えました。

点滴で栄養を摂るということにご本人も納得されたのですが

 

体調が安定すると、体を起して坐ったり

 

安全のためのベッド柵を自分で外して

 

ベッドから転落してしまうなどの活発さが見られたので

 

点滴が抜けてしまう危険性が高いと判断し

 

流動を注入する方法を続けることとしました。






通常は流動は1日2~3回摂っていただきますが

 

1日4回に分けて摂ることにしました。

これが精いっぱいの栄養の量となりました。

それに追加の水分を摂っていただいて

 

今のところは減ってしまっていた体重も少しずつ増加し

 

誤嚥性肺炎や下痢や腹痛にも悩まされることなく

ご自分でテレビのリモコンを操作して、テレビを見たりなど

 

安定した状態で療養されています。






高カロリー輸液では

 

留置カテーテル由来の感染症などが懸念されます。

 

末梢点滴では、カロリー不足ですし

 

いずれ点滴ルートの確保が困難になることは目に見えています。






長期的に安定して療養できるためには

 

消化管を使って栄養を摂る経腸栄養を選択できれば

 

その可能性が広がると考えます。

胃瘻って延命処置だから

 

胃瘻なんて絶対しない!というご意見もお聞きします。

それぞれの方でお考えがあるものでしょうから

 

そのご意見は尊重されるべきことと思います。

逆に何が何でも胃瘻!というものでもありません。

胃瘻増設は何歳でも

 

どんな状態の方でも出来るものではないのですから。






今回ご紹介した方は

 

もともとのご病気があって胃瘻造設に至ったわけですが

 

患者さんの年齢や全身状態に合わせて選択されるものと考えます。

栄養状態が不良の方が

 

経腸栄養を行って少しづつ体力を回復していく様子を見ると

 

本当に良かったと感じます。






老衰によって、食欲低下、食事の摂取量低下を来した場合には

 

胃瘻などの経腸栄養や

 

高カロリー輸液投与の適応は無いと考えますが

 

その見極めは長年の病状の経過も

 

加味することが大切なのだと思います。

普段から状態を把握してくれているような

 

かかりつけ医を見つけてくださいね。

 

 

 

 

健康や病気のことなどを綴ってます。

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