痩せていることは美しい?
摂食障害かも?
神経性食思不振症って?
神経性食欲不振症は
典型的には若い女性のごく普通のダイエットから始まります。
最初のダイエットが成功すると
自分の目標に合わせてダイエットを続け
さらに成功体験を得て自信をつけます。
これが快感になってやめられなくなると病的と言えるでしょう。
体に必要な栄養を
あえて極端に摂らないというダイエットを行うのですから
全身はその間に痛めつけられていきます。
血液の量が減り心臓が小さくなり
冬眠中のリスのように脈拍数が減ります(徐脈)。
各臓器への血流が減ってしまうので
脳は萎縮し、集中力や思考力が落ちます。
脂肪から作られる女性ホルモンができなくなり
女性器への血流も落ち、生理がとまります。
女性ホルモンの影響をうける骨も
栄養が足りないことなどからもろくなり
ご高齢の女性のように折れやすくなります。
髪のツヤやハリはなくなり手は黄色くなります。
このころになると周囲も異常に気づきますが
その頃には、ご自身は
自分の体を正しく認識する力を失っているため
「活力にあふれており、こんなに元気な自分はいない。」と
思ってしまっているので、病院受診を拒否するようになります。
神経性食欲不振症は慢性的に経過し
いったん回復しても再発を繰り返すことが多いと言われていて
10年間の追跡で一般人口の11.6倍の死亡率が報告されています。
治療は?
①身体治療
②心理治療
③家族治療
④学校・社会による支援体制 の4つが
調和をとりながら実施される事が重要とされています。
まず、異常な低栄養状態から
一刻も早く脱出することを優先します。
深刻な体重減少に電解質異常や脱水、徐脈や
精神症状などが加わる場合
まず身体の破壊を食い止めるため入院治療が必要となります。
この病気になりやすい方は
もともと乳幼児期から周囲に過度に気を使う過敏な性格であったり
表面的に適応しながら内面で自己評価が低いことや
完璧主義な傾向がみられると言われています。
そのような性質や傾向を持っている方が
思春期の発達課題に直面した際に
自己表現や葛藤の処理をうまくできずに
なにかの出来事をきっかけにして病気に陥ってしまうようです。
若年者なら小児科や児童精神科
大人なら精神科での診療が多いようですが
心身両面を包括的にとらえたチーム医療が必要とされています。
治療は長期にわたることが多く
妊娠・出産による再発や育児困難のハイリスクとされます。
身近な方のダイエットが
どうも極端だという場合は
摂食障害という病気を思い出してください。
実際にやせすぎていたり
食事や体型にとらわれているようなら
受診していただきたいです。
ひとりひとり、それぞれの健康的な体に支えられた
その方の本来の美しさが素晴らしいのだと思います。