今回はBリーグからRSも終わったのでシーズン総評を。


対象チームは開幕前に総評を書いた11チーム。


第1弾となる今回は秋田ノーザンハピネッツ編。


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外国人選手予想はこちら『Bリーグ23-24 新外国人選手予想 秋田ノーザンハピネッツ』今回はBリーグ新外国人選手予想第7弾の秋田ノーザンハピネッツ編。昨季開幕前総評はこちら『Bリーグ22-23 開幕前総評 秋田ノーザンハピネッツ』Bリーグ開幕前…リンクameblo.jp


今季開幕前総評はこちら『Bリーグ23-24 開幕前総評 秋田ノーザンハピネッツ』今回はBリーグ開幕前総評第9弾の秋田ノーザンハピネッツ編。昨季シーズン総評はこちら『Bリーグ22-23 シーズン総評 秋田ノーザンハピネッツ』今回はBリーグか…リンクameblo.jp



チーム評

 

まず、秋田の今季編成やロスターについて見てみると、日本人主力選手では大浦、伊藤、川嶋が退団し赤穂、熊谷と有力選手を獲得。


熊谷、赤穂は資金力あるチームからもオファーがあると思っていたので秋田の獲得は意外であり、良い補給だったと感じる。


一方で大浦は地区1位チームの三遠で大活躍をしており、秋田は上手く大浦を使えなかったとはいえ層的にも大浦がいなくなったのは痛かった。


ただ、移籍先の三遠が本気で大浦を取りに来ていたのなら金銭的に秋田が太刀打ち出来るはずないので編成のミスとは言い難い部分でないかと思う。


外国人選手ではザックを残留させてカンター、キッドの代わりにベイカーとクロケットを獲得。


ここが秋田の編成における1つ目の大きなミスだと思っており、開幕前総評でも述べたがベイカーとクロケットは予想していたよりもかなりランクの低い選手であり、この2人で戦っていた間の秋田の成績は散々だった。


これも開幕前総評で述べたが、熊谷と赤穂の獲得で人件費が圧迫したからクロケット、ベイカーレベルの選手しか獲得出来なかったとしか思えないような選択だった。


というか、2人と同ランク帯の選手でももう少し良さそうな選手はいくらでもいると思うので2人が本命の選手だったのか知りたい部分でもある。


いずれにせよ、もし従来の外国人選手と同じくらいのサラリーで2人を獲得していたのならば2人に勝機を見出したGMの責任は大きいように思う。


もう1つの編成におけるミスはワンを継続したことで、こちらも昨季から述べているが平均5分のワンのPTや成績からも貴重なアジア枠を無駄遣いしているとしか思えない。


アジア枠を上手く使っているチームと比べて秋田でワンが機能していたとは到底言えず、複数年契約という事情があったにせよ勿体無かった。


そもそも何故ワンと複数年契約を結ぼうと思ったのか遡りたくなるほど不思議な選択だった。


そんな日本人選手でのプラスと外国人選手でのマイナスがあったと感じつつ始まった秋田であるが、やはり外国人選手の影響の方が大きいのでシーズンイン後は負けが込み、クロケットとベイカーの入れ替えに踏み切った。


クロケットは開幕前総評番外編でも最下位に評価したように絶対に入れ替えると思っていたが、もっと早く切っても良かったように思う。


ただ、クロケットとベイカーと入れ替えにカーターとライスナーが加入するとすぐに巻き返した前田HCは流石だった。


しかも終盤には得点源になっていたライスナーもいなくなる不幸がありながら千葉に2度勝利、しかも難しいと思っていた勝率5割を達成するなど見違えるほどに建て直した。


ライスナーが抜けたので最終的には平均得点2桁以上は古川のみで悪く言えばオフェンス力のないチームであったが、外国人選手の得点に頼らず各選手に満遍なく分散するに近い形で日本人選手が得点するというコンセプトに沿っての勝利5割なら見事な成績と感じる。


クロケット、ベイカー体制、ライスナーの離脱があった上で東京、栃木、千葉いる東地区で勝率5割なのでプレイオフを目指していた当事者的には納得出来ないかもしれないが、予算やロスターなどからフラットに客観的な目で見たら戦力以上の成績を残して成功したシーズンかとも思う。


カーター、ライスナーでなくてもクロケット、ベイカー以外の外国人選手で最初から戦えていたらプレイオフ戦線に最後まで関わっていたかもしれないと思える惜しいチームだった。


個人評

 

主力選手や気になる選手について見ていくと、

・ザック

秋田の大黒柱でPT以上に負担があったのではないかと思う。


スコアラーではないので得点力という面では平均8点台と物足りないかもしれないが、得点源のダイブに加えて得意ではないポストプレイでも昨季に続き奮闘が見られた。


特筆すべきは平均3本以上もあるORと平均3本以上のアシストでチームの得点機会を増やす献身的なプレイで、リバウンドに関しては秋田がリーグトップクラスのリバウンドチームたる所以でもある。


TOの多さとハッキリ言って下手なレベルのFTは残念であるが、秋田の資金力で多くを求めすぎるのは酷かもしれない。


・ライスナー

ヨーロッパ時代から良い選手だと思っていたが、日本に来るとは思っていなかったので驚かされた。


今季秋田の救世主的存在であり、外国人スコアラー不在の秋田で大きな得点源になるとともにスペーシングやリバウンドにも寄与するなど各方面で大活躍だった。


オフボールのプレイ中心な点もTOの少なさやパスの上手いザックとの相性的な意味で合っており、合流後すぐに日本のバスケに順応しつつ秋田のバスケにフィットするなど素晴らしかった。


ライスナーが離脱しなかったら秋田はもう少し勝てたかもしれないと思うとライスナー離脱は残念でならなかった。


・カーター

過去に秋田でプレイしていることもあり、秋田側としてもどれくらい機能するか計算出来る選手だったのでベイカーの代わりとして堅実な補強だったように思う。


実力的にはリーグの外国人選手平均以下の選手だと思っているが、ライスナー離脱後は外国人選手トップの得点かつ高確率の3PとFTで安定した得点源として活躍。


リバウンドでもORでファイトしており、ザックとともに秋田をリーグ上位のORチームたらしめる要因にもなり、ベイカーからカーターになったのはチームが浮上する要因になった。


・中山

昨季からシュート確率、FT確率ともに大きく落として得点面では予想より活躍出来なかった。


一方でリバウンドとアシストでは良い活躍をしており、相変わらずORは日本人ガードとしては異質な平均1.6本で昨季よりPTが減ったのに昨季と同じ平均本数かつPTが中山以下とはいえ外国人選手のチョルと同じ本数という多さになっている。


ディフェンスでも貢献が高く、秋田を安定させている選手で±は日本人選手トップでFG%の不振はあっても秋田の大きな戦力だった。



・田口

3P%が昨季から大きく落ちており、昨季が高すぎて維持出来ないのは仕方ないにせよシューターしては及第点未満の確率にまで下がったのは痛かった。


ドリブルが多いのも気になる部分であり、ドリブル自体上手いわけでもなければ自らのショットをクリエイト出来るわけでもなく、プレイメイカーになれるわけでもないので田口がP&Rを仕掛けようとしたりするのは見ていてヒヤヒヤする部分でもあった。


実際に田口のドリブルが狙われる場面も多く、そこからTOに繋がるシーンが散見されたのでチームの役割としてC&Sに徹した方が良い気がしてならなかった。



・古川

3Pは昨季から大きく確率を上げており、個人的にシューターとして最低限決めて欲しい36%ラインを超えるなど他の主力選手が確率を落とす中で見事に持ち直した。


FTも8割の高確率で安定していたのも流石だった。


得点面でもライスナー離脱後はチームトップの平均得点で、もう引退してもおかしくない年齢でありながらチームを引っ張るパフォーマンスだった。



・熊谷


秋田の目玉補強だった選手の1人で、アシストはチームトップとゲームメイクで大きく貢献した。


サイズがないながらリバウンドにも飛びついている印象も強かった。


ディフェンスでもサイズのなさを運動量と強度の高さでカバーして相手を削るなど献身的だった。


唯一物足りなかったのは3P%で、平均4本以上のアテンプトでシューター2人に次ぐ多さで打ちながら3割未満と低確率過ぎた。


それでも熊谷獲得は秋田にとって大きかったと思える活躍だった。



・赤穂


本人はガード志望だったと記憶しているが、秋田でも外国人とマッチアップするのが主な役割になっていた印象。


そうなると当然サイズやスピード、フィジカルで劣勢になることも多い故にファウルも必然的に多くなってしまい、PTも予想していたより伸びなかった。


それでも他の日本人選手に任せるには難しい役割なので赤穂がいることは外国人選手がファウルトラブルになる場合にも備えられるので大きかったのではないかと思う。


ただ、オフェンス面ではシュート確率がかなり低く、もう少し決めて欲しかった。


 

主要チームスタッツ比較

 

主要チームスタッツを昨季の数字と順位で比較してみると、


・平均得点

平均得点は昨季78.6点でリーグ14位、今季は74.2点で数字も順位もリーグ22位に後退。

キッド退団やライスナー離脱による得点力低下はあるかもしれないが、チーム成績自体が上がっているのでネガティブな項目とは言い難いかもしれない。



・平均失点

平均失点は昨季77.7点でリーグ8位、今季は75.7点で少ない順でリーグ7位と数値と順位の両方がアップ。

今季も失点の少なさで上位をキープした。


・平均FG

平均FGAは昨季67.6本でリーグ4位、今季は65.4本でリーグ11位で本数と順位が下落。

平均FGMは昨季28.9本でリーグ16位、今季は26.9本でリーグ21位と本数と順位が大きく下落。

平均FG%は昨季42.7%でリーグ23位、今季は41.1%で確率と順位がリーグ23位と順位は同じだが確率は下落。

3Pの比率を増やしたからとは言え、FGが40前半の確率は低いと言わざるを得ない。


・平均2P

平均2PAは昨季が40.8本でリーグ7位、今季は36.4本でリーグ20位に本数と順位が下落。

平均2PMは昨季19.7本で18位、今季は17.4本でリーグ23位に本数と順位が下落。

平均2P%は昨季48.4%でリーグ24位、今季は47.8%でリーグ24位に順位は最下位のままに確率はさらに下落。

3Pの割合が増えた関係で2PAが減っているが確率まで下がっており、2シーズン続けて確率最下位はまずいだろう。


・平均3P

平均3PAは昨季が26.8本でリーグ6位、今季は29.0本でリーグ8位でアテンプトは増えたが順位は下落。

平均3PMは昨季が9.2本でリーグ5位、今季は9.5本でリーグ10位と成功数は増えたが順位は下落。

平均3P%は昨季が34.2%でリーグ7位、今季は32.6%でリーグ17位と確率と順位が大幅にダウン。


ディフェンスと並んで秋田の2本柱だった3Pはアテンプトが増えても確率はリーグ下位にまで落ちてしまい今季の秋田にとって3Pは強みでは無くなってしまった。



・平均FT

平均FTAは昨季が15.9本でリーグ16位、今季は15.5本でリーグ18位とアテンプトも順位も下落。

平均FTMは昨季が11.6本でリーグ16位、今季は11.0本でリーグ20位と成功数と順位が下落。

平均FT%は昨季が72.9%でリーグ13位、今季は71.0%でリーグ16位に確率と順位が下落。

アテンプト、成功数、確率の全てが落ちており、確率が年々落ちているのは痛い。



・平均EFG%


平均EFGは昨季が49.6%でリーグ23位、今季は48.3%で23位と順位は同じながら数値は下がっており、元々効率の良くないオフェンスの効率が更に悪化した。



・平均リバウンド

平均オフェンスリバウンドは昨季が11.7本でリーグ7位、今季は13.6本でリーグ4位と本数と順位が大きく上昇。

平均ディフェンスリバウンドは昨季が27.3本でリーグ5位、今季は26.9本でリーグ10位と本数と順位が下落。

平均トータルリバウンドは昨季が39.0本でリーグ4位、今季は40.5本でリーグ4位と順位を維持して本数を増やした。


リバウンドは昨季に続いて今季も秋田の強みであり、アジア枠もほとんど使っていないチームかつペース的にオフェンス回数の少ない秋田がこれだけORを取れるのは凄まじかった。


・平均アシスト

平均アシストは昨季22.1本でリーグ6位、今季は18.9本でリーグ10位と本数と順位が大きく下落。

FG%が落ちているとはいえ平均で3本以上減っているのはチームで点を取ることを掲げている秋田からしたら理想的な変動ではなかったかもしれない。


・平均ターンオーバー

平均TOは昨季が12.5個で少ない順でリーグ12位、今季は13.9個でリーグ21位と個数が増えて順位も爆下げした。

ザックのTOが多めなのと先述した田口の適性外のプレイでのTOなど切り詰められる部分でのTOが痛く、ペースの遅いチームとしては多すぎる。



・平均スティール

平均スティールは昨季が7.3個でリーグ4位、今季は6.5個で13位と個数と順位が後退。

スティールが多い=ディフェンスが良いというわけではないが、相手の攻撃を削る回数が減るという意味ではディフェンスチームの秋田的に上位を維持したかった項目ではないかと思う。


・平均ブロック

平均ブロックは昨季が2.0本でリーグ21位、今季は2.1本でリーグ22位と本数は増えたが順位は下落。

リーグに優秀なリムプロテクターが増えたことなどもあり、微増したくらいでは順位の上昇には繋がらなかった。



・平均ファウル

平均ファウル数は昨季17.6個で少ない順でリーグ11位、今季は19.4個で17位と個数が増えて順位も大きく下げた。

秋田はFTを相手に与える割合とFTでの失点がリーグトップクラスに多いチームなので当然ファウルが多いほどFTも増えやすいわけで、ファウルが増えたことはペース的に考えてもネガティブな要素と感じる。


・オフェンシブレーティング

オフェンシブレーティングは昨季105.6でリーグ19位、今季は103.8でリーグ21位に数値と順位が下がった。

トップスコアラーだったライスナーの離脱なども影響していると思われ、2シーズン連続で数値を下げることになった。


・ディフェンシブレーティング

ディフェンシブレーティングは昨季104.8で良い順からリーグ6位、今季は105.3でリーグ8位に数値と順位が下落。

リーグ全体のレベルアップもあって数値は落ちているが、このメンバーで上位を維持しているのは見事。

 

以上25項目中、昨季との比較で順位が下がった項目が19項目あった。

 

スタッツ順位の分布として下位項目が14個、中位が6個、上位が5個になっており、昨季は上位項目が多かったところから下位項目が最も多くなってしまった。


成績は上がったのにチームスタッツは大きく悪化する結果となってしまった。


ただ、秋田の場合はクロケット、ベイカーで戦っていた期間があることやライスナーの離脱などに由来する部分があるかもしれない。


特にクロケットとベイカー時の秋田の戦績はボロボロだったので、そこでのマイナスが全体的な数値の悪化を招いてる部分はあるだろう。

 

特に改善が必要なのは2P%、3P%、TOとファウルの多さではないかと思う。

 

来季も得点を外国人選手に依存しない形を継続するのなら2Pと3Pの確率は他のチーム以上に日本人選手が頑張らないと確率下位脱却は難しいかもしれない。


 

​来季編成

 

秋田は現時点で誰の去就も発表されていない。


残すべきと感じる選手は熊谷、赤穂、田口、古川、中山。


逆に絶対入れ替えるべき選手はワン。


秋田はアジア枠を無駄遣いしてきたと言ってもいいチームで、記憶が正しければワンの複数年契約が今季で終わるはずであり、流石に継続オファーは出さないと思われる。


新しく戦力になるアジア枠選手を獲得するのなら予算を捻出する必要があり、日本人選手の主力を残しつつ新たに日本人選手も強化した上で戦力になるアジア枠選手を獲得するのは秋田の予算的に可能なのか怪しい。


そんなことが出来るくらいの金銭的余裕があるチームならばクロケットとベイカーで今季を始めることもなかったはず。


先述5人以外の日本人選手も入れ替えて確実に強化するのは同様の理由で難しそうなので、そのような消極的キープをする選手も何人か出るのではと見ている。


外国人選手も難しいが、秋田は途中加入で大活躍したライスナーと再契約をしたいのではと予想するとともに個人的にもライスナーは再契約はするべき選手だと思っている。


ただ、そうなると活躍した上でシーズン最初からの契約になってサラリーも上がるのは言うまでもなく、残りの外国人選手2人に充てられるサラリーがどれだけあるのかという問題になりそうでもある。


なので他のチームの需要的にサラリーの高騰がなさそうなザックとカーターも消極的理由のキープをするかもしれないが、流石に1人も外国人を入れ替えないとは考えにくいのでザックをキープしてカーターを入れ替えるのではと予想。


最後までクロケットとベイカー問題が付いて回ったが、そのような苦境を乗り越えて勝率5割を達成した秋田の編成がどうなるか、まずは交渉リストに誰が載るかに注目したい。