今回は現地28日から開幕するオーストラリアNBLの注目チームや優勝予想について。
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オーストラリアNBLはサラリーが低いながらシーズンの期間などで選手から人気が高く、シーズン後にヨーロッパなど別のリーグに参戦することも可能になるので経験値を積みたい選手には打って付けのリーグになっている。
NBLからユーロリーグやNBAに参加する選手も毎年いるわけで、サラリーから考えたらとてもレベルの高いリーグである。
リーグ全体でハイペースなバスケを展開しており、1試合のアテンプトが70本以上は普通の光景で、80本以上も普通にあるのはヨーロッパのバスケと全く異なる部分である。
このバスケスタイルの違いも先述の経験を積みたい選手にとってはNBLとヨーロッパのリーグに参戦すれば1シーズンで複数のスタイルを学べるわけで、それがNBLの有力選手誘引力にも繋がっているのかもしれない。
そんなNBLでは昨季シドニーが連覇して王朝が始まるかと思われたが、連覇に大きく貢献したクックスがNBA挑戦するなどしたため勢力図が変わる可能性が大いにある。
10チームしかない少数精鋭リーグのNBLで個人的に注目するチームは以下である。
ブリスベン
昨季RS9位でタレントの割に全く良いところがなかったチーム。
今季はベインズやソーベイ、ミッチェルといった主力を残しつつ、痛手を伴うような退団はなかった。
さらに新加入で千葉で大活躍したスミスやビッグマンのノートンなど有力選手を獲得。
流石に昨季より成績が上向かないとまずいメンバーになった。
個人的注目選手は新加入のスミス。
日本ではオン3で日本人選手とマッチアップすることで莫大なアドバンテージを生み出していたが、日本人選手とマッチアップするわけではなくなるオーストラリアでどれくらい活躍するか楽しみである。
ブリスベンにはスーパースコアラーのソーベイがいるので1stオプションになることはないと思うが、上位オプションになることが予想される。
メルボルン
昨季オフェンス力の高いメンバーが集まって攻撃力溢れる見ていて楽しいバスケをしていたがギリギリでプレイオフに届かなかったチーム。
退団選手にはシュートもドライブも上手いメイス、以下リンク川崎の外国人選手予想でも挙げたオールラウンドスコアラーのタッカー、インサイドで強さを発揮するビッグマンのハンフリーなど得点力の高い主力が多く含まれる。
新加入はNBAでも活躍したデラベドバやスイングマンのトラヴァースなどで、死守したゴールディングと合わせてもオフェンス面では抜けた選手の穴埋めが出来ていないように感じる。
ディフェンスで下がったと思われる得点力をカバー出来るかどうかで成績が左右されそう。
個人的注目選手はゴールディング。
オーストラリア屈指のスコアラーでベテランになったが未だに高い得点力と勝負強さを持っている。
タッカーやメイスが抜けたのでゴールディングの得点が増えるかもしれない。
ニュージーランド
昨季の準優勝チーム。
ブラントリーを中心にしたチームで好成績を残したが、そのブラントリーやシーズン後にフランスでも準優勝したスコアリングガードのブラウンなど2大エースが退団。
なかなか厳しそうなシーズンになると思っていたが新加入選手にはニュージーランド代表のリアファとディレイニー、スペインで活躍したジェサップ、スコアリングガードのカートライト、昨季ユーロリーグでもプレイしたチータムなどサラリーを考えたら錚々たるメンバーが入った。
ブラントリーのディフェンスがなくなるのは痛いが、ブラウンとブラントリーの得点力分は十分にお釣りが来そうなぐらいで、特にバックコートの充実ぶりは凄まじい。
このメンバーでプレイオフ出場を逃すとは到底思えないロスターである。
個人的注目選手は新加入のカートライト。
一昨季にドイツで大ブレイクした選手で得点力は抜群。
ユーロリーグでは活躍出来なかったが、NBLでスモールガードの成功例といえばランドルの存在があるのでNBLでカートライトがかつてのランドルのように大活躍することを期待したい。
パース
昨季タレントが揃っていた割にプレイオフにギリギリ出場でプレイオフでも結果を出せなかったチーム。
退団選手には以下リンク記事で島根の予想選手にも挙げたインサイドで強さを発揮するトーマス、抜群のシュート力を持つマネックとトラヴァースなど主力が含まれる。
残留選手はニュージーランド代表のウェブスターやNBLで最も有名な選手と言っても過言でないコットン、安定したプレイが持ち味のワグスタッフなど。
新加入選手は以下リンク記事で名古屋の新加入選手として予想した身体能力抜群のアシャー、オーストラリア国内代表ビッグマンのピンダーなど有力選手が加入。
マネックは密かに日本に来ることを期待していたが、流石に新人であれだけの活躍をしたのでユーロリーグチームが放っておかなかったのは当然かもしれない。
そのマネックの穴埋めが出来ていないと感じるが、それでもリーグ屈指のタレントチームなのでプレイオフ出場を逃すことはあってはならないチームと言える。
個人的注目選手は新加入のアシャー。
名古屋の予想記事でも述べた通り身体能力抜群でトランジションが得意なアシャーはオーストラリアのハイテンポなバスケットスタイルとは相性が良く、持ち味を存分に発揮して大活躍すると見ている。
豪快なダンクのハイライトがたくさん見られそうなのも楽しみである。
SEメルボルン
昨季あと1勝していればプレイオフに出場出来たチーム。
リーグ最強格のスコアラーであるクリークを中心としたチームで、クリークの平均PTは35分近く、負担も大きいながら鉄人ぶりを発揮している。
他の選手もタレント力ある選手が多かったが、クリークが圧倒的すぎる故にクリークへの依存度は高いものになっている。
主力選手ではスコアリングガードのケルやシューターのブロエコフが退団したが、クリークや名古屋でプレイしたウィリアムス、ゲームメイクの得意なブラウンなど主力選手は戻ってきた。
新加入選手にはスコアリングとゲームメイク両方がハイレベルなガードのカミングス、Gリーグでペイントを荒らしていたビッグマンのクックなど凄まじい選手を獲得。
クックは日本に来ることを期待していた選手の1人で、オーストラリアのチームが獲得出来るなら日本のチームでも獲得出来たのではないかと来季の来日をまた期待したいが、オーストラリアで大活躍すると思われるので流石に来季はユーロリーグチームが獲得しそうである。
クリークに並ぶスーパープレイヤーが2人も入ったのでクリークへの依存も減ることになりそう。
こちらもプレイオフ出場を逃すとは思えないチームである。
個人的注目選手はカミングスと迷ったが、クック。
アンダーサイズながらフィジカルが非常に強いビッグマンでポストプレイやダイブ、カットなどビッグマン特有のスキルだけでなくドライブでの得点能力やトランジションに参加出来る走力も持ち合わせている。
これだけフィジカルの強い選手がブレイクやトレイルからダンクを叩き込むのは迫力満点で見映え的にも素晴らしいプレイをする。
もちろんリバウンドも強い。
ただ、シュートは苦手でFTに至っては5割を切ることも全然あり得る。
クリークやカミングスとの共存も楽しみである。
シドニー
2連覇中の王者で昨オフに続いて主力が一気に抜けた。
例えばオールラウンドガードのヴァシリエヴィッチ、身体能力抜群のスイングマンであるサイモン、名古屋に移籍したストレッチビッグマンのソアレス、2年連続で優勝に貢献したリーグ最強リバウンダーのクックス、スコアリングもゲームメイクも最高峰のウォルトンなどスタメンが全員いなくなってしまった。
特に得点とリバウンドで貢献の大きかったクックスとゲームメイクと得点でチームを引っ張ったウォルトンの2大エースの移籍は痛い。
優勝したチームが2年連続で解体するのはなかなか驚きである。
代わりに入った選手はNBAで主力経験のあるヴァレンタイン、得点力に優れたフォワードのホッグ、ゲームメイク力と高い得点力を兼ね備えたガードのアダムス、ブランクが大きいが復帰を表明したNBAとユーロリーグでプレイ経験のあるボールデンなど。
加入選手は良い選手が多いが、抜けた選手と比べると若干タレントの劣る選手と感じる。
それでも解体されたチームでサラリーも多くない中でこれだけの豪華メンバーを昨オフに続いて集めるGMの手腕は凄すぎる。
優勝は難しそうに感じるが、解体から優勝した昨季を見ていると今季も期待せずにはいられないチームである。
個人的注目チームはアダムス。
一昨季ぶりのシドニー復帰で、昨季はヨーロッパと中国で僅かしかプレイしておらず、成績も低調だったのは心配だが、一昨季の凄まじいプレイがまた見られることを期待したい。
シュート、ドライブともに高水準でアシスト能力も非常に高く、ディフェンスでもスティールを得意とする。
そのスティールからトランジションの展開に繋げるのはクックスがDRからトランジションに繋げていた代用となるのかも注目である。
以上半分以上が注目チームになるなど割合的に多くなってしまったが、それだけサラリーに見合わないほど良い選手が集まっているリーグだと思うので今季のNBLも楽しみにしたい。
優勝予想は非常に難しいが、ガード、フォワード、ビッグマンにそれぞれスーパープレイヤーがいるSEメルボルンを推したい。
クックとカミングスは初めてのNBLでも大旋風を起こしてくれそうなのでクリークとの3枚看板を楽しみにしたい。