実家の本棚の奥から引っ張り出してきた本書。帯文を読んで少し驚く。「『一人』は孤独なのか。『ひきこもり』であると自認する著者が指摘する、社会の嘘、学校の嘘。『集団』は『一人』より強いか」……まるで、「チェーンソーマン・レゼ篇」のコピーみたいじゃないか。表紙は五味太郎さんのイラストである。とりあえず、かわいい。もうこの時点で、だいぶ気分が上がっていた。ちなみに構成を手がけているのは、やなせたかしさんのもとで編集の腕を磨き、その後ノンフィクション作家になった梯久美子さん。これだけセンスが集結すれば、もう信頼度は抜群だ。で、中身はというと、ちゃんと、面白かった。たとえば、「ひきこもることで育つ第二の言語」という話。他人に伝えるための言葉は、あとでいい。まずは、自分の内臓から出てくる言葉を身につけなさい、という主張。読んでいて、「ああ、ほんとうにそうだよな」とうなずく。人と話す前に、世界に向かって何か言う前に、まずは自分ととことん話す。その時間がないまま言葉だけ外に出すと、たぶんどこかで空回りする。「一人」でいることは、黙っていることでも止まっていることでもなくて、ちゃんと、言葉を育てている時間なんだな。とても読みやすくて短い本だったけれど、大事なことがたくさん書かれている良い本だった。




