わたしたちが孤児だったころ | ほんだながわり

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「読んだり、観たり、行ったり」だけは、何だかやりっぱなしじゃいけないような気がしたもので…。

1930年代の上海と、その後のロンドンを舞台にした、探偵小説めいた小説。主人公バンクスの、どこか信用しきれない一人語りに引きずられながら読み進めるときの、足元の定まらない感覚が、なぜだかとても心地よい。記憶や思い出の尊さが静かに壊れていく様子を見るのは、歳を重ねた身としてはなかなか染みるものがある。けれど、それすらも含めて、「人間ってこういうものだよね」と思わされる作品だ。