ほんだながわり

ほんだながわり

「読んだり、観たり、行ったり」だけは、何だかやりっぱなしじゃいけないような気がしたもので…。

いつの日か富裕層になって世界中をフラフラすることを夢見ながら、いまも相変わらずゆらゆらと浮遊草のような生活を送る、28歳、男。と思っていたらいつのまにやらもう29歳…。も遂に終わり、花の30代に突入。といっていたのが、あれよあれよという間に40代に。

ヴォネガットがエッセイの中で「まさにアメリカ的天才の完璧な見本…」と言ってるのを見て、いったんエッセイを脇に置き、読んでみることにした。まあ、それだけヴォネガットのエッセイの虜になっているわけだから、こちらも最初から面白いものとして読んでしまうわけで、正直、この感想が正常なものかどうかわからない。わからないのだけれど、切れ味がいいのは間違いない。個人的な好みとしては、小川高義訳なのもよかった。

 

 

ナイジェリア人の父とイギリス人の母のもとに生まれ、ロンドンで育ったという作家、バーナディン・エヴァリストによるブッカー賞受賞作…なのに価格高めなので、しばらく様子見していたのだけれど、めちゃくちゃに面白い。どうせポリコレ界隈で話題になっているだけでしょうと思っている人がいそうだけれど、そういう次元じゃない出来の良さ。

 

 

谷崎潤一郎賞の受賞作は、芥川賞や直木賞の受賞作よりも好みのものが多いのに、食わず嫌いというか読まず嫌いというか、これまでほとんど手を出してこなかった谷崎作品。いきなり話ははずれるが、オーディブルはこういう作品を読んでみようと思う気にさせてくれるからありがたい。で、痴人の愛。大正時代に読むことができたらさぞかし面白かったと思うのだけれど、現代だと、ナオミがさすがにちょっと、溺れる対象には見えないかも。それなりに魅力的ではあると思うけれど。

 

 

 

はじめて読んだのは、25年くらい前だった気がする。いや、もう少しあとだったかな。というか、これがもう40年近く前の作品なことに、正直、驚いた。最近、「街とその不確かな壁」を読んで、一度読み返してみたいと思っていたのだけれど、いろいろ時代にそぐわない描写があるのは一旦横においておいて、やっぱり、面白い。いやむしろ、記憶していたものよりも、かなり尖っているし、みずみずしいし、ヒリヒリしてて、優しい。