映画を観たとき、濱口竜介すげー、と思った。それで原作を手に取ったら、今度は原作がものすごく面白い。映画ではそこまで触れられていなかった哲学や文化人類学の話が、思いもしなかった方向へどんどん広がっていく。夢中になって読んだ。そして読み終えて、結局また思った。やっぱり濱口竜介、すげーな、と。原作と映画は、かなり違う。舞台も違うし、語り方も違う。それなのに、原作の大事なところが少しも損なわれていない。むしろ、ここまで大胆に別のものにしたからこそ、原作にあったものが別の形でくっきりと見えてくる。映画を観て震えて、原作に夢中になって、読み終えたらまた映画に震える。久しぶりに、そんな体験をした。




