自宅と新松戸方面へ行くとき、
ほぼ毎回「関さんの森」の前の
横須賀紙敷線と呼ぶらしい道路を通ります。
屋敷の前の梅林と呼ばれる小さな地帯には、
ベンチが二つ置かれています。
ある日、トピ(帽子)を被ったネパール人のおじいさんが梅林の前をひょこひょこ歩いていました。私の脳は日本にいることを忘れて、「ナマスカール」とご挨拶してしまいました。
おじいさん、首ふり。私も。
「かはん じゃだーちょ?(どこへ行くの)」と訊きましたが聞こえなかったようです。
おじいさん、呼び寄せられたんだろうな。観光短期滞在っぽくないしなあ。…なんて思いながらそのまま自転車走行。
また会いました。この日はベンチに座っていました。
「ナマスカール」とご挨拶。おじいさん、今回は手で挨拶。
「きゃ かーる らへ ちゃ」
ネパール語間違い
ヒンディ語と混ぜちゃった
わかった?っぽい。ベンチを軽くパンパン。
「かはん バーター…(えっと)」
「ネパーリ―」
ああ…訊きたかったのは国ではなく、
今の家だったんだけど…ネパール語が出てこない。
ヒンディ語英語で話しかけたけれど、できないっぽい。
あとで気づいたのですが、チベット語で試せばよかった。
そのまま去っていこうとしたら、
もうひとつのベンチで男の人が寝ていたので
「熱中症ではないですか」と日本語。
そしたら、言葉がわからないジェスチャー。
英語中国語されました。
同じ場所で、外国人ふたりが休んでいる。
10年前の日本では珍しい光景だったと思います。
外国から労働者を入れたら、その家族を呼び寄せて、日本語がわからない…。
日本の国ももう少し想像力を働かせるべきではないかと感じました。
…とは言え、誰も彼も、話しかける私は、
その瞬間、日本にいることを忘れているのでした。