クラスアクト@サンシャイン劇場 | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 『A CLASS ACT』のロゴからわかる通り『A CHORUS LINE』の作詞担当エド・クレバンの半生を描いたミュージカル。作曲家を目指すも、作詞家としての評価が高かったエド。でも、彼がライバル視したのがマーヴィン・ハムリッシュだったり、アンドリュー・ロイド・ウェバ―だったりといったさらに上を行く天才たち。分が悪いったらありゃしない。このミュージカルはエドが作曲した楽曲を繋ぎ合わせて構成されているんですが、作品中「!」と思うメロディはハムリッシュ作曲だったりして、あくまで好みではありますが、メロディ・メーカーとしてのハムリッシュの魅力を再認識するという皮肉な作品でした。

 

 とはいえ、作曲:ハムリッシュ、作詞:クレバンのコンビが『A CHORUS LINE』の中のナンバーを作り上げる過程は、素材がどんどん洗練され、磨かれていく過程がミュージカルならではの高揚感をもって描かれていて見ごたえありました。ハムリッシュの音楽はそのままですが、訳詞は翻訳ミュージカルあるあるで、慣れ親しんだ劇団四季版の歌詞とは異なるので「ホントにこの歌詞がベスト?」とどことなく居心地の悪さもありました。

 

 さて、今回のカンパニーはキャスティング・ミスが目立ち、エドを演じる筧利夫がとにかく歌えない、というか、音を探しながらピッチを調整していく歌唱で、まるで弦楽器初心者の演奏みたい。役者なんだけど役者歌が歌えるかというとそういうこともなく、ミュージカルに慣れている他キャストが音楽に合わせて動いたりできている中、ダンスやモブシーンも音楽にピタっとはまらないのが気持ち悪くて、個人的にダメでした。楽譜がある演劇は、リズムにはまっているか、メロディ(BGM含む)に台詞が乗せられるかがキモですね。芝居が独特で、喉から絞り出すような発声と、やたらと張り上げる言いまわしなので、とにかく疲れました💦

 

 そしてソフィを演じる紫吹淳は筧利夫と対照的な芸風で、コンビとしてのバランスが今一つ。筧利夫が小劇場芝居なのに対し、紫吹淳は大劇場芝居。「バレエを教えて」と乞われて、「これが1番ポジション、これが2番ポジション」とポーズを取るだけで動きが大きいのでダンスを観ているかのよう。白衣やコートの着こなしは立っているだけでお見事(「長い春の果てに」のステファン先生っぽかった!)。華やかでした。その一方で「宝塚退団後初の舞台ですか?」な位女優になりきれてなく、低音で台詞を言う時はモロに男役だし、お歌も取っ散らかったまま。宝塚退団後、ここまで芸風が変わらない方も珍しい。

 

 サンシャイン劇場(かつて劇団四季が『コーラスライン』を上演したこともありました!)は舞台が小さいので、セットはほぼ変わらず、舞台中央に設置された縦型ピアノが小さな回り舞台でクルクル回る位の転換なんですが、ピアノの響板がカウンターに見えたり、壁に見えたりする工夫が目立つ演出でした。そして、カラオケ公演。

 

【キャスト】

エド:筧利夫
ソフィ:紫吹淳
ルーシー:高橋由美子
マーヴィン:吉田要士
リーマン先生:ブラザートム
フェリシア:松岡美桔
モナ:星野真衣
ボビー:広田勇二
チャーリー:平山トオル
マイケル:吉田潔
ダンサー:市川由希

 

【スタッフ】
作曲・作詞:エドワード・クレバン
脚本:リンダ・クライン、ロニー・プライス 
オリジナル・ブロードウェイ版演出:ロニー・プライス

日本語台本(訳詞含)・演出:西田直木
振付:川崎悦子 
音楽監督:宮﨑 誠
美術:秋山光洋
衣裳:桜井久美
照明:勝本英志
音響:早川 毅
歌唱指導:吉田純也
稽古ピアノ:若林優美、豊住 舞
演出助手:𠮷中詩織
演出補佐:日高信乃
舞台監督:南部正憲
宣伝映像:彩高堂
写真撮影:山岸和人
宣伝デザイン:樋口舞子
HPデザイン:岡本宏輔
制作:倉重千登世、児玉ひろみ、牛田真喜江
スーパーバイザー:苅谷隆司
アシスタントプロデューサー:末包竜大
プロデューサー:野田勉
版権コーディネート:東宝ミュージック
企画・製作:あなぶきエンタテインメント、ナッポスユナイテッド