マティス展@東京都美術館 | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 超有名アーティストだけど、意外なことに大回顧展は20年ぶりとのこと。とはいえ、来年は国立新美術館でも別企画で開催予定の『マティス展』です。東京都美術館版はパリのポンピドゥー・センターのコレクションが中心で、国立新美術館版はニースのマティス美術館のコレクションが中心とのこと。おフランスのマティスたちがこぞって日本にやってくるという贅沢三昧。マティスというと「色彩の魔術師」かつ「多彩な表現方法の研究者」で、一人でフランスの美術史を請け負ているような方なのですが、今回も時代を追って丁寧に解説されていました。変化に富んでいて楽しい時間でした。

 

 

【展示構成】
1章 フォーヴィスムに向かって 1895–1909
2章 ラディカルな探求の時代 1914–1918
3章 並行する探求─彫刻と絵画 1913–1930
4章 人物画と室内画 1918–1929
5章 広がりと実験 1930–1937
6章 ニースからヴァンスへ 1938–1948
7章 切り紙絵と最晩年の作品 1930–1954
8章 ヴァンス・ロザリオ礼拝堂 1948–1951

 

 ①まずはフォーヴィスム(原色を主体とする激しい色彩と大胆の筆遣い)時代。実はマティスがフォーヴィスムのリーダーとして活動した期間は短く、山口百恵かピンクレディーか、といった存在。線が太くて、顔やフォルムは結構雑で想像力をかき立てられる作品たちですが、どことなく「幼稚園生の絵みたい」と世界の巨匠に対して失礼なことを思ってしまう私。。。その一方でスーラのようなドット絵があったりして、フォーヴィスムって一言でいうけれど、いきなり迷走!

 

 ②続いて幾何学形態に単純化した絵画の時代。窓がモティーフだったり、人を描くのでもやたらと直線を利用したりで、「絵を描く時に定規を使ってはいけません!」と叱られた小学校低学年時代を思い出します。

 

 ③作品を抽象化していく過程は彫刻ゾーンでも顕著で、20年以上の月日をかけて4点が制作された等身大の女性像である「背中」のシリーズは、「かくして抽象化されていくのか」と面白い体験ができます。

 

 ④ニースに引っ越してからのマティスは肖像画や室内画、風景画を描くのですが、イスラムのスルタンに仕える女性「オダリスク」など、オリエンタルな世界。そういえば、マティスって女性を肉感タップリに描くのが得意だったようで「色彩の魔術師」のキャッチフレーズから、美術館に向かう時はファリャの「恋は魔術師」が脳内に流れていたのですが、鑑賞しているうちに、いつの間にかレハールの「女・女・女」をサイレント再生しながらの鑑賞でした。エキゾティックで、時にゴーギャン風の作品も!

 

 ⑤1930年代になってアメリカやオセアニアを旅してからの作品は原色が鮮やかで、個人的にはもっともマティスらしさを感じるゾーン。真っ青、真っ赤など、作品によってテーマカラーがあって部屋全体が華やか。

 

 ⑥そしてニースからヴァンスに移る頃には、絵画のために色を用いるというのではなく、色彩のために絵画という手法を用いている、そんな印象を受けました。④~⑥のゾーンは写真撮影もOK! ヴァンスってどこよ? 城壁に囲まれた、人口2万人ほどの小さな町でした。

 

 ⑦線の単純化や色の純化を目指したマティスがたどり着いたのが切り絵の世界。切り絵というと山下清が有名ですが、色のクリアな感じが南欧のイメージ。自由に切って張り付けての作品たち、、、保育士さんが喜びそうなコーナー。

 

 ⑧そんなヴァンスでマティスがトータルコーディネートしたのがロザリオ礼拝堂。舞台セットみたいに小さくてシンプルで実用性よりも映えを意識した礼拝堂。デザイナーズ物件とでも言いましょうか。そして、建物に合わせるように上祭服もデザインしたのでより完璧に。「天使にラブソングを!(ミュージカル版)」のフィナーレで村井國夫(再演では太川陽介)が着用して大うけした派手な上祭服みたいな世界。


趣味はヴァイオリンというマティスらしく、ヴァイオリン演奏中の作品もいくつかありました。

ただ、男は頭がボールのまま(撮影NG作品)、女性はしっかり書き込まれているのがマティス!

 

マダムの作品は良い感じなのに・・・

 

男を描かせると何だか手抜き感(暴言失礼)

 

自画像なんて「ふざけてる?」な感じでしょw

 

でも、女性を描かせると色気爆発!

  

 

カラー作品なんてもはや18禁です。リアルな描写はされてないのにモデルさんが赤面しそう。

   



【会期】
2023年4月27日(木)~ 8月20日(日)

【休室日】
月曜日、7月18日(火) ※ただし、5月1日(月)、 7月17日(月・祝)、 8月14日(月)は開室

【開室時間】
9:30~17:30、 金曜日は20:00まで ※入室は閉室の30分前まで

【会場】
東京都美術館 企画展示室

【主催】
公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館、 ポンピドゥー・センター、 朝日新聞社、NHK、 NHKプロモーション

【後援】
在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

【特別協賛】
大和証券グループ


【協賛】
ダイキン工業、 大和ハウス工業、 NISSHA

【協力】
日本航空

【観覧料】
一般:2,200円
大学生・専門学校生:1,300円
65歳以上:1,500円

【公式サイト】
https://matisse2023.exhibit.jp/

 


おまけ:来年、国立新美術館で開催予定のマティス展のチラシ