劇団四季『美女と野獣』舞浜アンフィシアター | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 浅利慶太時代「東京公演はオーケストラ演奏」と会員誌ラ・アルプでも謳っていましたが、最近はカラオケ公演が当たり前になってしまった劇団四季。歴代キャストは劇団ファンじゃなくても知っている名前がズラリと並んだものですが、今回は誰も知らないという配役。これ、日比谷や赤坂での公演だったら文句タラタラとなるところですが、舞浜だと気にならないんです。だって、ディズニーリゾートですよ。ミッキーじゃないけれど「役者?何言ってるの?ベルだよ、ビーストだよ!」な気分。テーマパーク内のショーも基本的にカラオケ(口パクの事も!)だったり、ダンサーの名前なんて知らないで観ることがほとんどなので、これは違和感なし。

 

 2023年版は上海ディズニーリゾートで2018年から20年にかけて上演されたバージョンをベースにした新演出。「新演出」と書くと聞こえが良いけれど、最近のミュージカルにおいては「新演出」=「コスト削減」と言っても過言ではなく、表向きは「ブラッシュアップ」ということだけど、この作品に限らず、良くなることって少ないんです。上演時間が短くなり、カンパニーの規模が小さくなり、装置や衣装が簡略化されることがほとんど。今回の『美女と野獣』も、第1幕(80分)ではベルと父親・モリースの場面&ナンバーがカット、第2幕(45分)でも村人vs城の住人とのバトルがバッサリカット。上演時間が30分も短くなりました。また、立体的な装置の多くが書割となり、衣装もよりシンプルに。ダイジェスト版にはなってしまったけれど、それでも素敵な台詞、素敵な場面の多い作品でした。

 

 でも、私が個人的に一番ビックリしたのは、ガストンの胸毛がなくなったこと! アニメでも胸毛アピールが凄いし、今までの上演でも胸毛のカツラ(というのか?)で胸毛自慢のナンバーを歌ってたんですが、今回はツルツル肌自慢のナンバーに。「メンズエステのCMですか?」と噴出してしまいました。それぞれの個性を認めよう、という作品だけど、胸毛はダメなんですね。。。

 

 ナンバーではベルが歌う「A Change in Me」が加わりました。「言わなくても分かるよね」ではなく「私、変ったわ」とダメ押しするあたり、アメリカンな感覚です。そして、東京初演後の地方公演から「タンス夫人」という野暮ったい名前だったのが「マダム・ブーシュ」の役名で復活。ロイヤル・オペラのプリマなのにタンス夫人だなんてあんまりだと思っていたのでこれは嬉しい。

 今回の劇場は舞浜アンフィシアター。元々、シルク・ドゥ・ソレイユのサーカス小屋として建てられました。演劇用としては使いにくそうな劇場ですが、シルク・ドゥ・ソレイユ撤退後も予想外にいろんなショーが上演されています。元来、2170席の劇場ですが、今回、舞台前方のサイドブロックをつぶしてプロセニアムと袖舞台を作り、でも、舞台前面は円形に張り出して約1400席を使用・・・これって、改装後の新宿コマ劇場方式! カナダ仕様なのか、座席は足元も両隣とも距離があってユッタリ。

 

サイドからはかなり見切れます


完売公演の両サイドの見切れ席を「当日劇場窓口のみで販売」してました。

半年分をまとめて販売する中、先々までスケジュールを立てにくい人には良きシステム。

※サイド席は張り出し部分しか見えない
 

 終演後はインパークするもよし、ディズニー直営ホテルで「Be Our Guest」ごっこするもよし、ディズニーストアで買い物するも良し。舞浜駅からは10分位かかる微妙に遠い劇場ですが、ディズニーの世界観に浸る往路、観劇後の余韻を楽しめる帰路。現在、劇団四季は『美女と野獣』@舞浜、『ライオンキング』@有明、『アラジン』@汐留、『アナと雪の女王』@浜松町を上演していますが、せっかくだから、ディズニーリゾート内にクラシックな劇場並べて、ブロードウェイエリアなんて作ってくれれば嬉しいんだけどなぁ。既に、イクスピアリには、映画が最上級の娯楽だった1920~1930年代のアメリカハリウッドのムーヴィ・パレスをコンセプトにしたシネコンがあるし、TDSではブロードウェイシアターなんかも作ったんだからできると思うんです。四季劇場のままだとショボイから、デザインについてはぜひディズニーとコラボで! 実現したら素敵じゃないですか?

 

 

【キャスト】

ベル:五所 真理子
ビースト:清水 大星
モリース    :菊池 正
ガストン:金久 烈
ルフウ:山本 道
ルミエール:大木 智貴
コッグスワース:吉賀 陶馬ワイス
ミセス・ポット:潮﨑 亜耶
マダム・ブーシュ:戸田 愛子
バベット:朴 悠那
チップ:秋山 紘大

【男性アンサンブル】
坂元 駿、水原 俊、吉岡 遊音、松本 拓也
後藤 旭、玉井 晴章、櫻木 数馬、辻 雄飛

【女性アンサンブル】
原田 美欧、武田 恵実、堀江 美月、三島 瑞稀
村田 繭菜、上田 伶、原田 千弘、引木 愛

 

一瞬、キャッツシアター?と勘違いしそうw

 

2022年10月23日(日)よりロングラン公演中(舞浜アンフィシアター)

 

【オリジナルスタッフ】

作曲 アラン・メンケン

作詞 ハワード・アッシュマン/ティム・ライス

台本 リンダ・ウールヴァートン

演出・振付 マット・ウェスト

装置デザイン スタンリー・A・メイヤー

衣裳デザイン アン・ホウルド・ワード

照明デザイン ナターシャ・カッツ