(過去記事1)の続き。
そこで引用したニュース記事について、
塾経営YouTuberが動画にしてて、
いやいや偏差値55ぐらいの中学に受かっているなら成功事例でしょう、
中学受験で偏差値55は高いですよ、
と答えていた。
うーん。
サピックス偏差値なのか首都圏模試偏差値なのかでだいぶ違うと思うが、それは言ってなかったような。
というか、いずれにせよ、
もともと偏差値いくつの生徒がどれだけの期間でどれだけになったか、
が重要なのだが。
3ヶ月続けても成績はすこし上がるぐらいだったが安定感が出てきたように感じた
たぶん少し上がるくらいでそのあとは上がらなかったんだろう。
で、先の塾YouTuberは、それでも成功事例だと。
塾の指導って、介護や保育と同じ系統のサービスであって、医療とは異なるサービスという事だろう。
医療の場合は、どのようなケースにどのような対応でどのような結果になったか、
論文にして情報共有される。外科医や精神科医なら名医もある程度はいて、個人技に頼る事もあるだろうが、エビデンスのない医療に病院は頼っていないし、法律的にもそうである。薬事法もある。
しかし塾業界は医療界とは全く違う。胡散臭いのだ。(過去記事2)でも書いたが、エビデンスのある方法論を構築しようという志が全くない。
塾経営番組を見れば分かるが、新規塾開業者向けの助言はたくさんあるが、こういう生徒はこう指導すればこう上がるなどという情報は全くない。
学校の校門でチラシを巻くと三百件に一件体験申し込みがある、とか、
通常授業でトントン、季節講習で利益を出せ、とか
電話営業はこうしろ、とか
体験授業を申し込まれたら、嘘でも今忙しいので5分待たせるかもしれません、と言っておけとか。(15分だと嫌がられるが、5分なら、そんなに人気殺到の講座は早く申し込もうというインセンティブが働く、とか)
そんな話ばかりだ。
塾経営のノウハウに、生徒指導の内容は関係ないのだ。
生徒と保護者のご機嫌をどうとるか、の話であって、指導に結果責任はない。
学習指導そのものは、保育や介護や療育と同列で、どれだけやったか、だけなのだ。
その手数料を要求してくる。結果で儲けているわけではない。
週一3ヶ月で偏差値10上げる指導料は、週三半年で偏差値5上げる指導料より高くて良いはずだ。しかし相場は違う。後者は前者の6倍かかるわけだ。
先の塾経営動画でも、生徒何名集めたとか、それが塾としての実績になる。どの程度の生徒をどこまで分からせたか、は関係ないのだ。
政府がこれをこのまま放置していて良いものだろうか。
1889年に薬局や薬剤師の法律が整った。それまでは偽薬なども多く民間で出回っていた。
発達障害などの精神医学では、医学モデルから社会モデルへとフェーズが変わった。教育で個人の特性を変革するという研究は下火になってきた。
重度知的障害者を訓練によって中等度知的障害にしよう、という試みをする医師はまずいない。むしろ二次障害を併発するとして危険視されている。
塾や学校は明治時代からはじまった伝統から抜けきれていない。とくに公立より私立学校の方が伝統を捨てないし、ポリティカリィコレクトネスも通じない。政府から遠いからだ。
産業革命期ぐらい子供を拘束する塾業界は政府が規制すべきだろう(過去記事3)。
(過去記事1)
(過去記事2)
(過去記事3)