資産形成とか資産運用など投資を勧めてくる証券マンがよく使う言葉として
複利の効果
がある.
その複利の効果の嘘として二つをあげて記事にした.
一つ目は(過去記事1)に書いた.これは一般論である
二つ目の嘘として,そもそも複利でいう年率という考えが
日本株では全く成立していないことを(過去記事2)で書いた.
1980-2023までの日経平均株価を指数関数近似すると
決定係数R^2=0.0589となり,基準となる0.5よりずっと小さい。これは近似誤差が大きすぎることを意味する。
精度よく指数近似できているなら,そのLogグラフが奇麗に一直線上にならんでいなければならないが,ガタガタなのだ.
ところが,米国S&P500で同じく1980-2023年を指数近似すると,
((過去記事3)の(1))
決定係数R^2= 0.8636
となり,かなり精度よく指数近似できているのだ.
Logグラフが奇麗に一直線上にまとわりつく.誤差が少ない.
これなら”年率”という考えが成立する.
複利効果の嘘2は,米国株では成立せず,複利効果が働いている,のだ.
1980-2023年の43年間で,日経平均では指数近似誤差大きいのに,S&P500では指数近似誤差が小さいのは何故か?
(過去記事4)でも見たように,日本株とイギリス株はここ30年以上は株価は上昇していない(尤も(過去記事4)ではイギリス株/物価で考えているので、本当は国債と比べる必要がある).米国株は爆上がりだ.これは何故か?
・長期投資すれば株価はあがる.
こう主張する人がいる.これは本当か?ピケティのr>gは,粗く言うと
株価の上昇率>国債の上昇率
ということだ.長期投資の長期はどの程度を想定するかだが,日本株・イギリス株を見る限り,30年・40年程度では長期になっていない.
でも,米国株は絶好調なのだ.(過去記事3)にあるように,奇麗に指数的成長をあげている.
そこで,改めて,日経平均株価を1960ー1980年の20年間(各年終値)で見てみた.
株価の自然対数をとり,指数近似すると,
1960+n年は,
y=0.1127n+6.7627
R^2=0.948
exp(0.1127)=1.119296
と出た.
つまりバブル前30年間の日経平均は,年率11.9%で伸びており,決定係数R^2=0.948>0.5で,近似誤差が非常に少ない.
これは凄い!
改めて(過去記事3)のS&P500と比べて書くと,
日経平均とS&P500で,
年率(リターン)は,11.9%と6.7%
決定係数は,0.948と0.8636.
バブル前30年間の日経平均は,ここ30年間のSP500より,年率も指数近似精度もどちらも良いのだ!
バブル崩壊は1990年だ.1989年のバブル末期の日本にいたら,株が流行るのは当然だよね.
これって,今の米国株と同じ状況ではないかな?
日経平均史上最高値は1989年12月29日38957.44円だ.
2023年年末終値は33464.17円
33464.17/38957.44=0.858993...
消費者物価指数を
1989年88.5
2023年106.9
とすれば,
(33464.17/106.9)/(38957.44/88.5)=0.71114017..
つまり,34年かけて,14%から29%を失ったことになる.
当時40歳なら今は74歳.
当時50歳なら今は84歳だ.
1989年日本は2023年米国以上の状態だった.
(過去記事1)
(過去記事2)
(過去記事3)
(過去記事4)