上野のお山から初音の道を歩く その3旧寛永寺荷担堂跡~国際子ども図書館 | jinjinのブログ

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上野のお山から初音の道を歩く

その3 荷担堂跡~寛永寺両大師堂~国際子ども図書館

 

 歌川広重の「名所江戸百景」と斎藤月岑の「江戸名所図会」を小脇に、「上野のお山から初音の道を歩く」の その3です。

上野のお山と言えば、上野恩賜公園=旧寛永寺ですが、

旧寛永寺にはどんな建物が建っていたのか?根本中堂(お山の中心の建物=本堂)をはじめ、知っているようで知らない・・・ので、江戸名所図会や広重の「名所江戸百景」などを見ながら想像たくましく回ってみますと、なかなか楽しい散歩になります。

 

 今回は旧寛永寺の中心、根本中堂跡~両大師堂~国際こども図書館までをレポートです。

 

 

◈その1:御徒町駅~上野広小路~上野山下(寛永寺黒門跡)~西郷隆盛像前まで歩きました。

◈その2:彰義隊のお墓~清水観音堂~五條神社~穴神社(花園神社)~文殊堂跡まで歩きました。

◈その3:荷担堂(にない堂)跡~「上野東照宮」へ。五重塔を横目に戻り、大噴水(根本中堂跡)の横をぬけて両大師堂、寛永寺本坊跡前~国際こども図書館までをレポートします。

 

<旧寛永寺 文殊楼~根本中堂>

 

◉荷担堂(にないどう)跡

 文殊楼跡(前回レポート)の先に「にない堂」という建物がありました。

「常行堂」という堂宇と「法華堂」という2つの堂宇があり、渡り廊下で結ばれていたため、俗に「にないどう」と呼ばれていたようです。

 

江戸名所図会にも

『この二つの堂の中間に渡殿を設くるゆゑに、世に荷担堂といひならはせり』と書かれているのですが、天秤棒で2つの荷物を担ぐ格好に似ているのでそう呼ばれたのでしょうか?

 

北斎がこんな絵を描いています。

 

<北斎 東叡山中堂之図>

手前が荷担堂、その奥に根本中堂が描かれています。

 

 荷担堂から左手(西)の奥に「上野東照宮」があります。

上野東照宮に行かれた方は多いと思いますが、「上野東照宮」とそのすぐ横の「五重塔」は上野戦争でも、関東大震災でも、第2次世界大戦でも類焼を免れて現存、貴重な文化財です。

 

◉上野東照宮

元和2年(1616)、天海大僧正と藤堂高虎は危篤の家康公を見舞いましたが、その際3人で鎮まれるところを作ってほしいとの遺言を受け、寛永4年(1627)藤堂家の屋敷地であった上野に東照宮を造営しました。

●現在の社殿は、慶安4年(1651)、家康の孫、三代将軍徳川家光が改築したものとか。

●家康を祭神としていることから、強運の神様、出世、勝利、健康長寿の神様として信仰されています。

●社殿は平成21年(2009)1月から平成25年(2013)まで修復工事が行われ、平成26年(2014)から一般に公開されています。拝観料は500円。ただし社殿内部は文化財保護のため非公開とされています。

●家康公の他、徳川吉宗公、徳川慶喜公をご祭神としています。 国の重要文化財です。

 

 

 

◉寛永寺五重塔  

●寛永8年(1631)、上野東照宮の塔として土井利勝によって創建されましたが、寛永16年(1639)に焼失。
●同年、幕府の作事方の棟梁だった甲良宗広(こうらむねひろ)らによって再建されたのが現在の塔。
●明治の神仏分離令に伴い、神社内の仏塔は認められず、危うく取り壊されるところ、当時の宮司が五重塔は寛永寺の管理であることを国に申したて、取り壊しを免れたとのこと。

●昭和33年(1958)東京都に寄付され現在に至ります。
●党内の諸仏、東大寺仏師の法眼康猶が造立した釈迦如来・薬師如来・弥勒菩薩・阿弥陀如来は、現在は東京国立博物館に寄託されてるとのこと。

●五重塔は上野動物園内にあります。極く間近で見るためには、入場券を買って動物園に入らなければなりません。

 

 

◉上野動物園

「荷担堂」のあったすぐ左横は・・・上野動物園の入り口です。

 

 昨年のことですが、妙齢のおじさんばかり7人ほどで上野動物園内を歩いたことがあり、初めてパンダなる動物の実物を見ました。平日でしたが、結構並びました。

(あんまり動きませんでしたが、やっぱり可愛いですね・・・余談)

 

 

◉旧寛永寺根本中堂跡・・・といっても何も残っていませんが・・・大噴水があるばかり。

 

 

 

噴水が「根本中堂」の跡。 その向こうに見える建物は「東京国立博物館」です。

東京国立博物館は、旧寛永寺の「御本坊」跡、輪王寺の宮のお住まいだったところに作られています。

 

 

※根本中堂とは:本来的には比叡山の東塔エリアにある比叡山延暦寺の本堂。山の中心となる堂宇を根本中堂と呼んでいます。

天台宗の寺院では、「寛永寺」や山形県の山寺「立石寺」のように、本堂にあたる堂宇を「根本中堂」と自称している寺院もあります。

 

東京博物館正門を右手に行くと「両大師堂」と「輪王殿」があります。

 

◉寛永寺両大師堂(開山堂)

 

 

 開山堂は、寛永寺開山の天海大僧正(慈眼大師)を祀ります。

また、慈眼大師が尊宗していた慈恵大師(良源大僧正)をも祀ることから両大師堂とも呼ばれます。創建されたのは正保元年(1644)ですが、現在の堂宇は平成5年に再建されました。

 

 

 慈眼大師が慈恵大師を拝んで祈祷したことによって第4代将軍家綱が生まれたとも伝わり、子授けの大師としても広く信仰されています。

元三大師の霊力の強さは格別で、祈祷の時は降魔の鬼の姿を示現したとも言われ、角大師・豆大師・鬼大師と言う別名もあります。

 

<角大師護符>

 

両大師堂内の「阿弥陀堂」と阿弥陀堂内の諸仏(阿弥陀如来・薬師如来・地蔵菩薩)

 

 

 

両大師堂のお隣に「輪王殿」があります。

 

 

 この山門は旧寛永寺ご本坊の表門を移築したもの。雄大な山門で、これも国の重要文化財に指定されています。

 ※寛永寺輪王殿:上野公園に隣接する天台宗関東総本山・寛永寺の運営する寺院斎場。

少人数の家族葬から一般葬、社葬、大規模葬まで対応可能・・・とのこと。

 

 戻って国立博物館正門前を通り寛永寺方面に向かいます。

 

◉旧鳥取藩池田家の黒門

この黒門は国立博物館の敷地内にあります。

大体がこんな感じで、通常は、門は閉まっています。

 

 

この散歩をしたときは、何故か門が開いていました。

結構何度となくこの門の前を通っていますが、門が開いていたのは初めてでした。

 

 

 この先を歩いて行くとなんだろう?と思うような建物があります。

京成電鉄旧博物館・上野動物園駅舎です。

 

 

◉京成電鉄旧博物館・上野動物園駅舎

今は、この駅は使われていませんが、地下にホームなどが残されています。

 

<ネットからお借りしました>

 

 駅舎が建設されたのは昭和8年(1933)、京成線が日暮里から上野まで続伸される際に建設されました。

上野公園が皇室の御料地であったため、地上に線路を敷くことができず、御許しを得て地下を通されたとのことです。 

駅舎は御前会議にて「品位に欠けるものでものであってはならない」と決議され、石造りの駅舎が完成しました。

 

しかし、ホームを4両分しか造ることができず、6両編成の電車が停まることが出来ないという欠陥があり、ついに平成16年(2004)廃駅となりました。この駅はしかしながら文化財的価値があったため、平成30年(2018)鉄道初の東京都選定歴史的建造物に選ばれ、この時初めて一般公開されたということもあったようです。

その後は不定期に一部を公開したりされているとのこと。

鐵道マニアには垂涎の駅だとか。

 

さて、当レポートの最後に・・・上野お散歩のお勧め「休憩スポット」・・・と言ったら怒られてしまうかもしれませんが・・・

 

「旧博物館動物館駅」の交差点を渡って、黒田記念館前を右手に行くと、立派な建物があります。

 

 

国際子ども図書館 (入館無料)

 明治39年(1906)築の旧帝国図書館の建物を利用した、日本初の児童書専門の国立図書館。

元々は東洋一の図書館を目指して建設が始められたとのことですが、規模が縮小されて1906年に竣工しました。

2000年に国際こども図書館となり、安藤忠雄がリニューアル設計を行い、帝国図書館時代の外装・内装が極力利用されて建造されたとのこと。

 

 見どころの一つはガラスのカーテンウォ―ルに囲まれたラウンジと呼ばれる3階のスペース。カーテンウォールのある廊下の4壁面に100年前の煉瓦の壁が配され、また2階・3階に至る階段も帝国図書館時代当時の物が使われているとか。

平成11年(1999)度に東京都選定歴史的建造物に選定されています。

 

 図書室もあって本も読めますし(図書館だから当たり前ですが)、レンガ棟だけ見て回るのはさほど時間はかかりません。(向かい側はアーチ棟という)

 

<建物の模型>

 

階段もなかなか素敵です。

 

 

<ホール>

 

ホールからベランダ外へ出てみると、これもGood! 屋根・窓、ガラスで覆われている。

 

 

前の建物で外の壁だったところをガラスのカーテンで仕切って内側の壁に収めたところ(ラウンジ)もなかなかです。

 

 

 

 

ラウンジから中庭を見下ろしたところ

 

 

お勧め休憩スポットは1階の「カフェ」

コーヒー270円、ケーキセット600円、他にカレーやスパゲッティ、サンドイッチなどの軽食もあります。カレーも500円ですから、安いですね。

(値段が変わっていましたらご容赦)

 

 

天気が良ければ、外に出てゆったりとコーヒーを楽しむのも爽やかです。

 

 

国際こども図書館を出て、寛永寺に向かいます。

次回に・・・

 

続きますでござる